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先に起きたのはゾロ。隣で眠るサンジをぼんやり眺めていた。
「はよ…」
先に口を利いたのはサンジ。瞼が開いたと同時に笑った。
「でな…あン時…」
ドアも窓も閉めてシーツを被って、まるで神様にも聞かせたくないように、ゾロは耳打ちする。
それはサンジしか知らないウィスパーボイス。
「はいカット!!」
クランクアップ。ブレイク中のBL小説のPV。派手な喧嘩で始まり、ラストは波打ち際のキス。抜擢されたのは新人アクターのふたり。リアルに気の合わないふたりだった。
「シャワーお先」
「直ぐ行く」
「アホ。クランクアップだろ」
「PVだろ。今からが本番」
ガチンコ。
「余所事考えてんじゃねえぞ」「べ、別に」
落ちつかねえんだよ。見られてるみてえで。わかってるさ。お喋りなドアやタンスは居ねえってこと。でもよ。
「シーツが」「あ?どうした?」
シーツの擦れる音が冷やかされてるみてえで恥ずかしい…なんて言えるかよ。
笑って誤魔化した #キスの日
「新郎さま、神父がお見えですが」「わぁってるよ、もちっと待ってくれ」
小さな島のホテル。うちには勿体ないような美しい新郎だ。
「おい。誓いてぇんだけど」婚礼の衣装を着けてたが、散歩がてらに寄ったような言い方だった。
「お、来た来た」え?男?
新郎は自分でベールを掛けて目を閉じた。
#ゾロサンあるある
「アホか!てめぇなんて見てるわけねぇだろ。自惚れんな、ぐる眉」
「なんでだ…?クソコックが気になって仕方ねぇ。くそっ、変な言いがかりつけやがるから…」
「なんだそういうことか。簡単じゃねぇか。俺はコックに惚れてんのか…」
「やっと気づいたかよ。アホマリモ」
「はぁ?俺がてめぇに惚れてる…だと?ハッ、寝言は寝てから言えよアホコック」
「やべっ、なんでバレてんだ💦そんなに露骨に見てたのかよ…。あれだな…飯んとき、あんまし可愛いツラするからきっと無意識に…」
「ん…コック…好きだ。てめぇも飯も…。嫁に来い…コック…」
寝言でプロポーズ。
最近コックと仲良くなった。仲良くってのは、まぁそう言うこった。相変わらず喧嘩もするが、それはそれ、これはこれっつう訳だ。
「おい。みんな寝ちまった。今日もヤっていいか?」「いいぜ」俺はコックを膝の上に座らせる。そのまま身体を倒して腹筋を始めた。
「鍛錬バカめ」どうだ?仲良しだろ?
「いつまで喋ってる。荷物持ってやっからとっとと買ってこっち来いよ。そんなツラ、簡単に見せんな」
「なにがおかしい。俺が寝言…?コック飯、だと?全然普通じゃねぇか。おい、なに泣いてんだ…」
「寝てるてめぇは可愛いいなぁ。憎まれ口も叩かねぇし。でも青いのも見てぇ」
ゾロはサンクラだ。
「クソ絶倫マリモ…てめぇのせいで腰は痛ぇし足はフラつくし、思い出すと顔があちぃし…」
「あー、なんだっけか…クソ剣士が言ってた調味料…ショーユか!それ捜してみっか!」
「あぁっ。やだぁ…うぅ…。か、勘弁してぇ…痛ぇし嫌ぇなんだよぉ…筋肉注射…ゾロぉ助けて…」
サンジはゾロばっか。
週に1回の休日。大切な朝に、耳を澄ます。
寝返り打った。
イビキが止まる。
ぽんぽんとシーツを叩く。
ベッドから飛び降りた。
「おい。まだ早ぇ。シーツが冷てぇ。もちっと…」
言い終わる前に飲みかけのカップを渡す。それを彼が飲み干したらもう1度ベッドへ。週に1回の俺の楽しみだ。