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年月が過ぎ去る。キバクロウはまだ都市にいた。激しさを増す戦火。散っていく沢山の魂。憐憫と救済の想いをカタチにする都市。慰像観音(いぞうかんのん)。その眼差しは遠く隣国の果てまで届き慈愛の念を発する。
キバクロウが街の景観と融合する。独京天を詠む阿風導師。戦乱の世を放浪する孤高の導師。一陣の風が宝具を揺らす。リンという音色。落ちていく想天女(そうてんにょ)。
逢魔時。かつて結界に守護された都市があった。赤犬と牙鴉が融合したキメラ像。その像は平和の証。ハネヤスメにやってくるキバクロウ。彼を歓迎する無数の鴉。
巨岩の中。灼熱の中を飛翔するキバクロウ。亡者の群がキバクロウを襲う。アカムシに喰われた妻の名を呼ぶキバクロウ。白鳥の翼。その翼に触れる為に長い時間をかけて飛んできたのだ。そしてその手が白い翼に触れる。
別の時代の別の世界。寝仏の上のキバクロウは空を見上げた。天空に不気味に輝く紅い光。その光に向かって飛んでいく一羽の白鳥(しらとり)。その鳥にオブナの影を見たキバクロウは天向かって飛翔する。
「かつてあの御神木が樹竜だった頃。
キバクロウ様とオブナ様はこの場所で婚礼を上げた。沢山の精霊たちの祝福。夫婦の儀。お二人の姿はそれはそれは神々しいものだったという。しかしその至福を砕き壊すモノが現れた」
「雨の日に想願鏡を覗くと<想う人>の姿が見える。
キバクロウ様はきっとオブナ様の姿を見ていたはずさ。
オブナ様?オブナ様はキバクロウ様の大切な奥方だよ。
白い翼のそりゃとてもお綺麗な妖人様だ」
「色々な世界へ行って集めた天女の像。それに囲まれてキバクロウ様が羽を休める所。それがあの御神木なのさ。そしてキバクロウ様は雨の日に必ず想願鏡をみつめる。とても大切な時間だ」
最初の記憶。窓際にいる私。
私はどんな身体になるのだろうか?
私はどんな仕事をするのだろうか?
愛おしいという声を聞いて私は
生まれた。まだ首だけの私。