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「あっそれ」後ろから不意に声がかかった。振り返ると吉川観保がいた。今野円が持っている瓶を舐めるように見てスケッチを始めた。「北越雪譜の異獣のイラストだね。どこで買ったの?」「白作さんのお家ですよぉ」「あぁ、あそこか」 #えんすけっ!
「もう十二月だねぇ」赤や黄色に彩られた地面を見ながら今野円はしみじみした。「大分冷え込んできたね」口井章は両手を口に当ててはぁっと息を吹きかける。「鍋の美味しい季節だね」と言うと、牧田スガは中華まんを口に放り込んだ。 #えんすけっ!
「まどか、あぶないっ!」と口井章が発声するより早く吉川観保は自然に身体を反らせてぶつかりそうな今野円を避けた。手にはスケッチブックを片手にペンで紅葉を捉えている。それも自然に人を避けて歩きながらなので章は唖然とした。 #えんすけっ!
「酉の市で見世物も見たんだょ」今野円の興奮は収まらない。「へぇーどんうだった?」口井章も少し気になった。「えーとぉ、蛇食べてたょ」「うぇぇ」蛇は食べられると牧田スガが言ったので、蛇を食べるスガしか思い浮かばなかった。 #えんすけっ!
牧田スガは小さい缶を両手で持って口に運んだ。美味しそうな顔をするので今野円は我慢できずに「スガリン、ちょっと飲ませてぇ」と言うと無言で渡されたのでゴクと飲むと微妙な顔をした。「砂糖水だといってもよいような飲料ですぅ」 #えんすけっ!
牧田スガが蛇を放り投げたことで人集りからは歓声と悲鳴が二分して上がった。口井章はどちらかというと後者だった。「スガリン、よく蛇なんか触れるね。蜘蛛はあんなにダメなのに」「え? 蛇は食べられるよ」とスガは自然に答えた。 #えんすけっ!
蛇を見て口井章は悲鳴こそあげなかったもののとても厭そうな顔をした。足取りも少し重い。「まどか、戻って来なよ」今野円が人集りに揉まれている横を牧田スガは上手くすり抜け蛇の前に行くと尾をむんずと掴んでー近くの茂みに投げた。#えんすけっ!
きゃーと悲鳴をあげて牧田スガは口井章の後ろに隠れて肩を震わせている。「スガリン、どうしたのぉ」今野円が心配そうに声をかけた。スガは真っ青な顔で地面を指差して「く…蜘蛛」と言うと同時にそれをI-836がパンっと潰した。 #えんすけっ!
「寒くなってきたねぇ」「紅葉狩りの季節ももうすぐだね」「また行きたいねぇ。スガリンも行くぅ?」今野円と口井章がそんな会話をしている隣で牧田スガはパンをもぐもぐと食べながら「紅葉狩りは食べられないからいいや」と答えた。 #えんすけっ!
「スガリン何食べてるのぉ?」牧田スガが鞄からパンを取り出して頬張るのを今野円は見逃さなかった。「はほひはんのはんあお」「ぬらりひょん?」殆ど聞き取れない。スガはごくんと飲み込むと「ナポリタンのパンだよ」と言い直した。 #えんすけっ!