これは、君達が空鞠町でデンチナマズを探していた頃の話である。

——————————

ここは星宮家のとある一室。

「あるじぃぃ…」

黒いカエル…ゲッコウガが床にうつ伏せになって涙の池を作っていた。

0 15




〈急〉

「えーと、ここをこうして…」
「何をしているんだ?」
「んー?…内緒」
何かの作業をしているヒイロ。ワカバが訪ねてもはにかんで誤魔化すばかりだった。
『ヒイロサンノアノ様子…モシヤ…』
「ハチ、心当たりあるのか?」
『ゴニョゴニョ…』

1 11




〈破〉

「暇だナァー…」
窓から差し込む夏の日差しが強まってきたあくる日の事。王冠印の情報屋の少年は机に突っ伏していた。
「珍しいですね、レイさんが暇だなんて…」
お仕事の依頼が無いんですか?と聞くと、ゆるゆると首を振る。

0 12




「はーい!撮影終了です!」
お疲れ様でしたー!と、スタッフの声がスタジオ内に響く。
「はー、やっと終わった…」
「シグレ、お疲れ様」
「あー、そっちもお疲れさん。浴衣もありがとな」
「良いわよ、それくらい。うちの店の宣伝にもなるから!」

0 14