「……済まない」
そこまで聞いて、兄さんが顔を蒼白にして頭を下げる。
「き、気にしないでッ!?現に今、こうやって無事なんだから。ねッ?!」
「いや無理だろうッ?!」
「……うん、ごめんなさい」
確かにこの内容で気に病むなという方が難しい。
(続)

0 7

『リィナ、私だ。入っても、良いか?』
「兄さん?どうぞ。……えっと。何か、ご用?それに、その書類は……?」
「あぁ、こちらはまだいい。……落とし物を、届けに来た」
「おとしもの?……ッ?!」
数枚の紙と並べて机の上に置かれたパスケースを見て、息を吞む。(続)

0 12

「……」
割り当てられた部屋を出て、リィナの部屋を目指す。
だが、その足取りは重い。
答えは見えた。だが、だからこそ"その先"に躊躇を覚えてしまう。
「こんなにも臆病者だったのか、私は……」
足を止め、溜息を漏らす。
(続)

0 6