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#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈業化〉
反魂後しばらく、実の定まらぬ幽的としてすごしていた彼は、ある日を境に肉の器を備えた天狗と化します。
それは妖としてみれば成り上がり。
しかし亡魂として虚しく消え逝くことは許されず、浮世に永らえる身となったことを意味していました。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈反魂〉
死後、彼は水無瀬の手により喚び戻されます。
ただし、彼女が用いたのは外法中の外法。
喚び返された者の魂魄までも無に帰す、二度とは使えぬ術でありました。
一度でも黄泉返れば、すべてが失われると承知の上で彼は水無瀬の声に応じました。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈晩年〉
百歳を目前に彼は運命の女――幼い水無瀬と出逢います。
彼女とならば子をなせる。
それと知りつつ彼は宿願を果たすことなく、相手のために死ぬ覚悟を決めます。
やがて訪れた終焉の刻。
里の滅亡を見届け、自身も屍すら残さず果てたのでした。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈老年期〉
二度目に帰郷した彼に居所はありませんでした。
やむなく彼は山に庵をひらき、気侭な隠棲をはじめます。
生き飽いた彼は気まぐれに自身の老い先を占いました。
六十年後に女を得、以て瞑すと告げられたのは彼が還暦を迎えた頃のことでした。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈壮年期〉
亡き妻の遺志を汲み、彼は里の女と私通を繰り返します。しかし待望の子はなせず、女の屍が積みあがるばかり。
業を煮やした彼は、またしても里を出奔。
京を経て上方で暮らしはじめます。
以降、五十を過ぎるまで里には帰らずじまいでした。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈青年期〉
里を抜けた彼は三十代の半ばまで江戸で暮らします。
空疎な歳月を過ごし、やがて帰郷した彼に与えられたのは若い妻。
幸せも束の間、彼女は初子を死産したのち、みずから縊死します。
それは妻の遺言を果たすべく足掻く日々のはじまりでした。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈思春期〉
九歳で修行を終え、一人前の術士と認められた彼は以降、大人の先達に混じって務めをこなします。
初めて人を殺したのも同じ頃。
寡黙に仕事をこなしていましたが、十代の末に京で大火災を巻き起こし、身ひとつで出奔するという暴挙に出ます。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈幼少期〉
里では、ごくありふれた子供として育ちました。
それも父が死ぬ五歳の頃まで。
以降は母の手伝いを理由に同じ年頃の子供とも交わらなくなります。
やがて七歳で修行入りを告げられた彼は、それを伝える間もなく自裁した母の亡骸と対面します。
#登場人物ピックアップ ③ 石斎【セキサイ】
〈生まれ〉
開祖四家と呼ばれる里の枢軸を担う血筋のうち、紫野ノ目の末家に生まれたのが彼でした。
すでに雪降り積もる旧暦十一月のこと。
産み落とされて間もなく、襁褓ひとつで外に出されるも、三日経っても死なずにいたという逸話を持ちます。