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【丸い地球のどこかの曲がり角で/ローレン・グロフ】 11の物語は寓話のようでありながら、孤独と不安に囚われた我々の生の断片を淡々と語る。もつれあう樹木と青空に覆われた湿潤な土地で、亡霊たちは記憶を差し出す。無意識のうちに赦しを希求する人間たちは、今はもうない地球の四隅に立っている。
【オオカミ県/多和田葉子 文 溝上幾久子 絵】 痛烈なメッセージに心がざわつく美しい絵本。昔の人は大きな神をオオカミと呼んだ。東京に住むのは兎のふりをした動物たち。“風の噂”に潜む本当と嘘。真っ白な兎と真っ黒な黒幕。盲信と抵抗…。 俺は犬じゃない。オオカミの怒りがメタファーを蹴散らす。
【ハワーズ・エンド/1992英】 移りゆく時代のなかで、すべての象徴の如く美しくそこにあるハワーズ・エンド。植え付けられた価値観のまま生きる人々と、文学と音楽を愛し善意を隠さない人々。誇りと人生。譲れないものを守る強い意思は大いなるものに導かれるように、新たな世代へ引き継がれてゆく。
“七十歳以下の人間と七歳以上の人間を信用してはだめよ。猫でもないかぎりね” 主人公マリアンには自身が投影され、ロマンティックな偽名で世界中の知らない人に手紙を書くおしゃれで知的な友人カルメラのモデルは、レメディオス・バロ。大好きな画家2人が盟友として描かれる物語を読む幸せ。
【ジュディ 虹の彼方に/2019英仏米】 特別な誰かではなく、海に落ちる雨粒でいたい…。人が栄光と呼ぶもののなかにいても、真に願うものはそこにはない。虚実の狭間でもがきながらも自分らしくあることを諦めなかった彼女の心が、レネーの瞳に、表情に、ふとしたしぐさに宿る。弱さも愛も歌にのせて。
@kiginoto 図書館本で、とっても素敵な世界で手元に置いておきたいなと思ったら絶版になっていました…。 フランス版の表紙、私も見たのですが、うーんなんか違うなぁと思って違うものを載せました💦ハンナちょっと怖い🙈他にもいろいろ見つけたんですよ!お国柄なのか、こんなに違うんだとびっくりです!
【ザ・ピーナッツバター・ファルコン/2019米】 偶然の道連れはかけがえのない友となり、まっすぐな思いはそれぞれの心の枷を外す。彼らの穏やかな笑顔の上でやさしい世界に祝福の鐘が鳴る。ピーナッツバターを塗るたびにあの瞬間がよみがえり、きっと幸福に包まれる。 “ああ神様 これ以上 待てません”
【ティンブクトゥ/ポール・オースター】 犬の目から見る人間たちは、だれもが悲しみを携えながら自由と不自由を背負い、心の声を隠してはこぼしながら生きている。いなくなった主を求める魂に理由はない。愛なのだ。永遠の無の向こう、この世の地図が終わるところ“ティンブクトゥ”に彼はいるのだから。
【わたしの好きな季語/川上弘美】 雪間、春愁、青鬼灯、枯枝、花野…。奥深く美しい季語たちに、古典文学でただ”花”とあるのは”桜”のことだと知ったときの、なんとも言えず甘やかで一途な気持ちをふと思い出す。そっと窓をあける。春が待ち遠しく、夏が眩しく輝き、秋を想い、そして冬が愛おしくなる。
【わたしたちのたねまき/キャスリン・O・ガルブレイス 梨木香歩訳】 種をまく。太陽も、風も、雨も、川も、鳥も。それぞれがそれぞれのやり方で。やわらかな絵がいのちを伝える。 私も種まくものでありたい。綴ることも、思うことも、伝えることも、きっと大きな意味での「たねまき」なのだから。