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【ザ・ピーナッツバター・ファルコン/2019米】 偶然の道連れはかけがえのない友となり、まっすぐな思いはそれぞれの心の枷を外す。彼らの穏やかな笑顔の上でやさしい世界に祝福の鐘が鳴る。ピーナッツバターを塗るたびにあの瞬間がよみがえり、きっと幸福に包まれる。 “ああ神様 これ以上 待てません”
【ティンブクトゥ/ポール・オースター】 犬の目から見る人間たちは、だれもが悲しみを携えながら自由と不自由を背負い、心の声を隠してはこぼしながら生きている。いなくなった主を求める魂に理由はない。愛なのだ。永遠の無の向こう、この世の地図が終わるところ“ティンブクトゥ”に彼はいるのだから。
【わたしの好きな季語/川上弘美】 雪間、春愁、青鬼灯、枯枝、花野…。奥深く美しい季語たちに、古典文学でただ”花”とあるのは”桜”のことだと知ったときの、なんとも言えず甘やかで一途な気持ちをふと思い出す。そっと窓をあける。春が待ち遠しく、夏が眩しく輝き、秋を想い、そして冬が愛おしくなる。
【わたしたちのたねまき/キャスリン・O・ガルブレイス 梨木香歩訳】 種をまく。太陽も、風も、雨も、川も、鳥も。それぞれがそれぞれのやり方で。やわらかな絵がいのちを伝える。 私も種まくものでありたい。綴ることも、思うことも、伝えることも、きっと大きな意味での「たねまき」なのだから。
【まく子/西加奈子】 少年のときはいつ終わるのだろうか。大人への嫌悪と変わりゆく自身への不安ではりきれそうな心。小さな永遠と大きな永遠を胸に、瑞々しく煌めく日々に彼はきっぱりと別れを告げる。 物語のなかにいる間、子どもの頃に触れた俊太郎さんの詩が鮮やかに甦り心を駆けめぐっていた。
【茶色の朝/フランク・パヴロフ】 ある日、茶色以外のペットが禁止される。それはやがて新聞、本、服装…と生活すべてを茶色に侵食していく。何かがひたひたと押し寄せてくる様を淡々と描いたフランスの寓話。 茶色い朝はどこにでも訪れる。私は何かを見過ごしていないだろうか。
【パーフェクトワールド/1993米】 逃亡犯と人質でありながら、隠しきれない心の傷がふたりの魂を引き寄せ、やがて父と子のように心を通わせていく。切ないほどに手を伸ばして触れようとした「パーフェクトワールド」は、かすかな余韻を残して幻のように消える。絵葉書。ハロウィン。少年のまなざし。
【幸福路のチー/2017台】 なんとなく過ぎていく「今」にふと立ち止まるとき、だれにでも一度はおもひでぽろぽろが訪れる。岐路になった「あのとき」と「あのとき」と…、心の目に映るのはいつの自分だろう。 きっとしあわせは幸福路に。
【ホフマニアダ ホフマンの物語/2018露】 どこまでも美しく残酷で、触れると壊れてしまいそうな、15年を費やした72分間の夢。醒めたあとに漂う透きとおっていく世界の名残り。「ボクは平凡な真実より独創的な嘘が好きだ」