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「黙れよ!!!!!!!!!!!!」
バシュン、と確かな質量を持ったものを突き通した音がした。勢いのよく貫いたものは背中側からも血が吹き出し、そのまま背後に近い壁へと誘われる。
「強くなったね、ネオ。」
その音を発したのは、無垢の手袋を赤色に染めたアナスタシアだった。
孤独に閉じ籠る青年に愛の言葉は弾かれ、無惨に捨て置かれるのみ。彼が自身を守る為自ら創り上げた殻は厚い。それでも、聖女は無償の愛を振り撒き、彼へと伝え続ける。
____沢山の矢が彼女の身を射抜いていたとしても。
「……ほんとに、なんなんだよ…うるさいって…!黙れよ!!」
コツコツと靴を鳴らし近くへと来るエリザ。
「怪我が酷いね…特に脚が…担架で医務室まで運ぼう。大丈夫、僕にかかれば直ぐにでも治るさ心配はいらないよ。ピグマリオンも、お疲れ様」
悲痛そうな、でも安心させる為に浮かべたであろう下手くそな笑顔にジニーは安心して意識を遥か彼方へと飛ばした。
「クソ、くそ…くそ、死んじまえ、ぼくだってしにたくない君も一緒に地獄行きだ僕を殺したこと、一生後悔しろ、ずっと呪って…やる」
吐血が止まらず嫌な音を立てる喉からは苦しそうな咳と共に血が吐き出される。仰向けに倒れた事により血が上手く吐き出せないのかごぽっ、っと溺れた様な音も聞こえる。
「ニーナ、私…、私のせいで、私……」
白濁とした目はもう目としての機能をほぼ失っており、虚構を見詰めていて焦点が合わない。
そこには2人の少女が立っていた。
ジニーはバラニーナが相手だと分かると忽ち元々悪かった顔色を更に青くした。
黙ったまま震えてバラニーナの事を直視できずに自分の靴のつま先を見るしかなかった。
「…っまだ、やれマス…!」
「させるものですか!」
負けじとバーで殴りかかるが、避けられてしまった。こちらからもモーニングスターの軌道が丸見えだ。すかさず避ける。
お互い攻め続けるも回避が続いた。
また前を向くと、控え室へと消えていった。
ロジェを殺した際の返り血でも流しに行くのだろう。勝利したって、こんなの全く嬉しくない。
………おめでとうございます、なんてとんだ皮肉だ、先程の嫌に綺麗な笑顔が脳裏にこびり付いて離れなかった。
きつく握った手を下ろすと、ピグマリオンから目線をそらす。乱れた白の長い三つ編みを背中へ流すと、眉をひそめた。
「…………気分が悪いわ…」
「出血がひどい···まず、治療に行こうよ。そのままだと、きみも···」
「医務室へ連れて行ってください。私も戻ります。よろしくお願いしますね」
___どうして?本当に?何故?
何故、彼が死ななければいけなかったのか?
優しくて、いつも仲間思いで…少し変わっていたけれどそれでも誇り高く、軍人の鑑のような精神で……悪いことなんて、何も。
「あぁ、すみません、遮ってしまいましたね」
悪いことなんて………………。