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勿論抜け目など無く、脱出に繋がる情報も見つけられないままとうとう自分の番になってしまった。
___いや、今不安事を増やすのは良くない。長い髪を指でくるくると弄りがら待っていると、次第に人が集まり、地下へと下っていった。表情を引き締めて、皆が観客席へと移動するのを見届ける。
峰打ちなんて有り得ない、彼の腕前なら細い腕を切り落とす事なんて造作もない事だから。それをオディリアはよく知っている。
ランハートの事が分からなくなってしまい攻撃を躊躇した。
彼もまた酷く焦っていた。
母のように暖かだった彼女に仇を成すように傷つけ、ここまで追い込んでしまった自責。
自分は今刻一刻と彼女の慈愛に応えられる最後を失っていく。
「ほら、そんな顔しないで。もう少し傍においで。」
アナスタシアは最後の力を振り絞り、ネオの袖を引く。
「黙れよ!!!!!!!!!!!!」
バシュン、と確かな質量を持ったものを突き通した音がした。勢いのよく貫いたものは背中側からも血が吹き出し、そのまま背後に近い壁へと誘われる。
「強くなったね、ネオ。」
その音を発したのは、無垢の手袋を赤色に染めたアナスタシアだった。
孤独に閉じ籠る青年に愛の言葉は弾かれ、無惨に捨て置かれるのみ。彼が自身を守る為自ら創り上げた殻は厚い。それでも、聖女は無償の愛を振り撒き、彼へと伝え続ける。
____沢山の矢が彼女の身を射抜いていたとしても。
「……ほんとに、なんなんだよ…うるさいって…!黙れよ!!」
コツコツと靴を鳴らし近くへと来るエリザ。
「怪我が酷いね…特に脚が…担架で医務室まで運ぼう。大丈夫、僕にかかれば直ぐにでも治るさ心配はいらないよ。ピグマリオンも、お疲れ様」
悲痛そうな、でも安心させる為に浮かべたであろう下手くそな笑顔にジニーは安心して意識を遥か彼方へと飛ばした。
「クソ、くそ…くそ、死んじまえ、ぼくだってしにたくない君も一緒に地獄行きだ僕を殺したこと、一生後悔しろ、ずっと呪って…やる」
吐血が止まらず嫌な音を立てる喉からは苦しそうな咳と共に血が吐き出される。仰向けに倒れた事により血が上手く吐き出せないのかごぽっ、っと溺れた様な音も聞こえる。
「ニーナ、私…、私のせいで、私……」
白濁とした目はもう目としての機能をほぼ失っており、虚構を見詰めていて焦点が合わない。
そこには2人の少女が立っていた。
ジニーはバラニーナが相手だと分かると忽ち元々悪かった顔色を更に青くした。
黙ったまま震えてバラニーナの事を直視できずに自分の靴のつま先を見るしかなかった。
前回の戦いについて思い返す。あの時、シャオリンを止めてあげれなかった。何もせずぼーっとなんてしていられない。そう言って探索し続けたものの、時間だけが過ぎて今日もこの時間が来てしまう。
膝を抱えて布団にくるまっていると、ノックの音が聞こえる。呼び声に応え、付いていく。足取りが重い。