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しかし、どんなに取り繕ったところでそれは見せかけに過ぎない。現に、康太は今も彼女の体内に宿るであろう「命」について考えていた。いまはまだ変化がないが、あと三ヵ月もすれば確実に膨らんでいくそこに宿る小さな命…そして、その奇跡を為したのが自分ではなく、軽蔑していた男なのだという事実…
二週間後……夫婦は以前と同じような生活をほぼ取り戻していた。(というよりも二人が意識してそういう風に振る舞っていたというのが正しいか…?)
涼音が帰って来てから「あの一週間」について話題に上ったことはない。このままなぁなぁのまま忘れていけるのではと二人は期待していた…
気が付けば、彼の愛おしい妻は玄関に立っていた。
涼音はきちんと帰ってきた、康太の元に。
その事実に他の余計な雑念はすべて消えた。
そして溢れる喜び。康太は自分の妻に縋り付き、その名前を呼びながらただただ泣いた。子供のように…
3日、4日……日々の眠りは浅く、夜中にうなされて起きることが何度もあった。胃の中がずっしりと重く、泥か鉛でも食べたようにじわじわとした苦しさが身体の中を対流している。心臓が急に早くなったりしたし、幻聴が聞こえることもあった。
10日後…「あの日」を迎えた康太と涼音の前に上機嫌な井家表が再び現れた。今日から一週間、涼音は国が管理するという施設で井家表と暮らすことになる
目的は言わずもがな、「子作り」をする為だ
緊張と不安な夫婦をよそに、井家表のテンションは異様に高い。(から回っている事にも気が付いていない
信じられない様子の康太に、涼音は努めて冷静にこの法案のメリットについて語った。彼女なりにもう逃げることはできないと思っていたのだろう。
だったら、「これをチャンスととらえて、前向きに二人の将来を考えた方がいい」と涼音はいった。
そして、その為に色々調べて、覚悟もしてきたと…
井家表が帰ってから、康太は考えた。今日この日まで、悩みに悩んで答えが出なかった。だからもっと考えた。ご飯も取らず、風呂にも入らず、睡眠を削って…
だが…彼には良い考えは何も思いつかなった。
嫌な汗と動悸…心臓は締め付けられるほど痛かった。
そんな彼を見かねたのだろう…
それでも、何とかして妻を守りたい康太。
答えは出ないが、「返事をしなければ了解したことにならない」と、できる限りの抵抗…時間を稼ぐ。
そんな態度に井家表は「なんか、答えもらえそうにないし、とりあえず今日は帰るわ」とため息交じりに帰っていく
今を乗り越えた…しかし、それも時間の問題