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森泉岳土・著『フロイトの燃える少年の夢』 夢をキイワードに著名な作家の作品をさらりと圧縮抽出したマンガ。これまでになくコントラストの強い画が一コマ一コマ連なって、甘い眠りと不安をそそる。黒は奈落のように深く、白は光を放っている。画集のように何度でもページを行き来したくなる本だ。
オカヤイヅミ・著『いいとしを』 独身40男が実家に戻って70代の父親と二人暮らしをするハナシ。良いお年をではなく、いい年をしての方だ。小説でもドラマでもいける内容。でもマンガなら一人で作れる。画も書き込みを省略した独自の密度をキープした一人描き。原画はオールカラーでもいけそうだ。
南勝久・著『ファブル』全22巻。 ヤンキーと殺し屋アクションのハイブリッド・マンガ。掛け値なしに面白い。が、顔のバリエーションが少なすぎて、脇キャラの判別がつきづらいのが難点。リアルで細密な画風は小画面のスマホにはもったいないし、ヤンマガ連載では印刷が汚い。コミックスがお薦め。
こうの史代・著『ぴっぴら帳(上下)』 新装版のラスト。8冊読み通して思うのは、こうの作品は、なんでこんなに時代に左右されていないのか、ということだ。どれを読んでも制作年代がわからない。それでいて普通に読めるのは、核心しかついていないからだ。こうの史代は、そういう奇跡的なマンガ家だ。
こうの史代・著『街角花だより』新装版 最初期の作品集。繊細なイメージのマンガ家だと思って読み流していたが、本作では人間のタフさを描いてすでに骨太だし、一コマの中に複数の感情を凝縮して表現できるような画を試みていることがわかる。こうの史代は、最初からさりげなく実験マンガ家だった。
こうの史代・著『この世界の片隅に』 新装版を機に何年振りかで再読。以前とは異なり、登場人物たちのたくましさが印象に残った。素朴な絵柄ながら、コマ運びもアングルもペンタッチも描く対象の取捨選択も、本当に考えこまれていることに今更ながら感動する。右往左往しながら生きていこうと思った。
こうの史代・著『夕凪の街 桜の園』コアミックス 小型になった新装版。改めて情報量の多いシンプルな画に驚く。描かれているものは全部必要なものでその一つ一つがいとおしい。人間、まっとうに生きなければいけないと強く思わされるし、何もかもが自分に返ってくる。でも僕は桜の花はしんどいのだ。