次の瞬間、部長は黒い影みたいなものに包まれた。そしてその中から現れたのは、部長の変わり果てた姿だった。
「…戦闘員17号、起動。これより、素体の確保、選別を行う」
俺たちはひたすら逃げ惑ったが、保健室からは戦闘員となった部員たちが現れ、残った部員たちを次々と無力化していくのだった。
「ぶ、部長……?」
部活中、体調不良を訴えた部長は、コーチに連れられて保健室に行くことになった。残された俺達は自主連ということになったが、一人、また一人と部長と同じように不調を訴えるものが増え、部員の殆どが保健室に向かった。
それから1時間ほど経った頃、部長が1人で戻ってきた。
『ひぃっ！あ、貴方様は…』
「此処は俺の縄張りだ。分かったらさっさと失せろ。他の奴らにも伝えておけ。俺の縄張りでお菓子を好きにできるのは俺だけだとな」
『し、失礼しましたァァァーーー』
そしてモンスター達は、夜の闇へと消えていった。
『トリック・オア・トリートォォォ!!』
「「うわぁぁぁーーー」」
この日、ミイラ男やフランケンなどのモンスターが、街の人々を襲ってはお菓子を奪い取っていた。
『トリック・オア……』
「頭に乗るなよ、ガキ共が……」
『あ、何だオメェ？お菓子くれなきゃイタズラ……』
「できるのか？貴様に」
「それじゃあ、トリックだね。お菓子くれない悪いオトナは、僕のお人形になってもらう。この子達みたいにね。」
彼の周りには多くのぬいぐるみ。その目は怪しく光り、目の前の男に向かって動き出す。その体が完全に覆われると、強い光を放ちながら段々と小さくなっていく。
「ハッピーハロウィーン♪トリック・オア・トリート！」
元気よく街の大人たちに呼びかけてはお菓子をねだる1人の少年。
「おじさん、トリックオアトリート！」
『ゴメンね、坊や。オジサンお菓子持ってないんだ。どんな可愛いイタズラをしてくれるのかな？』
「え、お菓子、無いの？そっかぁ……」
「お前ら、これは…」
『センパイにこれからイイモンやるッス』
「いいもんって…ふごっ！？」
『ちょーっと黙っててくださいね…すぐ始まるッスから…』
「……ッぁ！」
『おー！浮かび上がってきた』
『にしても、意外と貧弱な体ッスよね』
『何ならコイツと一緒に成長させる？』
『いいねぇ〜！』