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郊外の商業施設で10年ぶりに先輩と再会する。高校時代、2年も片想い。卒業式で一度だけ、私からキスをねだった。男児の手を引く彼の横を、作り笑いで通り過ぎる。子どももいるのに、まだ思い出にできてないや……。「お待たせ。ぐずった?」。トイレから出てきた姉に、姪っ子が眠るベビーカーを返す。
「先輩ご無沙汰です」。郊外のショッピングモールで後輩と再会した。高校の卒業式、「思い出下さい」と囁かれ、一度だけキスをした。あれから10年。垢抜けた後輩はベビーカーを押している。僕の隣を一瞥し、軽く会釈し立ち去った。「お友だち?」。いや逃した魚。手を繋ぐ5歳の甥っ子が、首を傾げる。
5年前、互いに交際相手と別れ、僕と彼女はつきあった。最初の頃、不安で何度も激しく求めあった。同じ25歳の今では、愛の形は家族に似てる。当時を思い出すように、架空の「別れ話」を切り出して、切なげに求める彼女のことが愛おしい。大丈夫。もう僕らに不安はない。そろそろ本当の家族になろうか。
別れようかと私は呟く。「ああ」と彼が答える。これで最後と言い合って、互いに激しく交わった。荒い息を整えながら、微笑んで口づける。20歳から交際5年。半年前、頻度が減った私たちが編み出した、これは「儀式」だ。こうでもしないと昂らないのは歪んでる。服を纏い私は思う。本当に、別れようか。
また成長したね、と同性の女子の胸をつつく。高校の昼休み。少し離れた机から、幼なじみの男子が見てた。巨乳のお裾分けしてあげる、と彼に近づき手を差し出す。拒むよね、と期待してたら赤い顔して手を握られた。何だよ、あんたも巨乳好きか。「違ぇよ」。なら何よ? 「……触れたいの、お前の指だ」
高校で幼なじみが胸の大きな女の子とじゃれている。同性同士、触れ合って大騒ぎ。お前ら百合かよ。視線に気づいた幼なじみが僕に近づき囁いた。「はい巨乳のお裾分け」。差し出されたその手を握る。「好きだねえ」。小悪魔みたく笑う彼女に小さな声で反論する。巨乳じゃない。触れたいのはお前の指だ。
「初恋の男子と再会したい」。女子高の放課後の文芸部。小中も同じ親友が呟いた。腐女子だと思ってたけど、いたんだね、そんな人……。「腐ってるのはお互い様でしょ」。微笑む彼女が手を握る。本当は必死で学んでるんだ。漫画もアニメも小説にも興味がない。ただ一つ、愛するあなたのそばにいるため。
珍しく同性の親友と恋バナした。小中一緒で女子高でも同じ文芸部。初恋相手と再会したい、と私が言うと、「そんな人いたんだ?」と驚かれた。いたよ。小さい頃は夢中だった。「抜け駆けかあ」。あなたも知ってるはずだけど。今度復刻版が出るらしい。あの漫画の男の子、私たちのヲタ活の、原点だよね?
心変わりを感じてる。高2から彼とつきあい1年半。惹かれた相手は誰だろう。今日もうちに遊びに来た、彼の姿を見ていると、尋ねる勇気を絞り出せない。「お姉ちゃんたち仲いいね」。一つ下の妹がジュースと菓子を運んできた。私は自分の鈍さを悔やむ。視線を重ねた2人の頬が、微かに赤く染まってた。
高3の姉の元彼が、ふらふらと線路に落ちて亡くなった。「私のせいだ」と姉が泣く。浮気を疑い、別れを告げた翌日だった。「内緒で会って」。一昨日、彼に届いたLINEを見たらしい。「差出人も確かめず、本当に最低だ」と姉が自分を責めている。ううん、お姉ちゃんは悪くない。呼び出した、私のせいだ。