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【12話】#ぼくすき 『テンコ。どこいっちゃったんだろう、、』 ここのところそればかりが気になって 結局、あれから彼女にも会いにいけていないまま ただぼんやりとした日々が過ぎてた。
『そのテンコってやつもでかくても新入りかもしれねぇ!困ってたら水場や餌場を教えてやれよな!』 『う、うん』 この日から 何日経ってもぼくの前にテンコが現れることはなかった。 聞きそびれたあの言葉の先を もう二度と 聞くことは出来なくなった。
『おーーい!イチーー!』 この声は 『ミケ?』 何があったのかミケはひどく息を切らしてやってきた。 『お』 『お?』 『おまえーーっ!!!しばらく何処行ってたんだよ!』 『???』 あっという間にぼくはミケの下敷きになった。
『会いには行かないのかい?』 振り向くとしっぽの長い白くて「おおきな猫」がそこにいた。 『テンコ』 テンコと呼ばれたその「猫」は大きく伸びをしながら話を続ける。 『以前は毎日のように行っていただろう?』
でも ふと、何か大切なことを忘れてしまったような そんなものかなしい気持ちになるのは何故だろう。
『名前っ!私まだ、キミの名前も、聞いてない、、!』 私の名前だって 『名前は。キミにつけて欲しいなぁ』 黒猫がクスリと笑う。 え?
サイレンだ。 『これ、パトカー?今日はやたら多いけど何か』 何か、とは まただ。 嫌な汗が出た。
『ここが、えき!!!!!』 ぼくは先程の彼女の宣言通りとてもとても驚いた。 たくさんのニンゲン。 たくさんの匂い。 大きな音。それに何だか足元が揺れている気がする。 これが「えき」なんだ。
【9話】#ぼくすき 『海が見たいの!今年は行けなかったから』 身体が軽い。足取りも自ずと弾む。 『うみ?うみってなぁに?』 『そっか。知らないのか。見たらね。きっとビックリするよ!』 『うみ!楽しみだ!』 猫になって海を見に行くなんて 我ながら最高の夢だなと思う。
『え』 『一緒に行かない?!』 『い、、、いく、、、』 ふわりとした毛並み。淡いにおい。キラキラとしたその瞳の近さに ぼくの告白は まだまだ先になる。そんな予感がした。