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木月サトさんのイラストまとめ


レイク・マレ 絵描きです。 結合双生児、奇形女子、イビツであれ、幸福であれ、暖かな幸せを。 邂逅を pixiv.net/users/2760072 ご依頼は固定ツイのリプから:skeb.jp/@sato_kizuki 掲載画像は生成AI不使用
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# 欠損

「なんだよ。めずらしーか?」
あっけらかんと、彼女は言った。
右は白磁みたいに透きとおる肌。
左は焦げた琥珀みたいに深い色。

体はフツーで、でも左右で違う世界を生きてきたみたいな。
きれいだなんて言ったら、きっと鼻で笑われる。
でも目が離せなかった。

こんな存在、ほかにいない。

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かくれんぼ。

押入れの奥、湿った布団のにおいと、日だまりのぬるさ。
少女は足で、私の出入り口をふさぐ。
「ここ、私の場所なんですけど? なんでいるんですかぁ?」

狭くてやわらかい、子供の匂いが加わった、小さな秘密の国。

1 13

見えない目で、世界を感じている女の子がいます。
花の香り、茎の手触り、指先に伝わる形——彼女はそのすべてを、心のなかで「見る」ことができる子。
手のなかにあるのは、青いバラ。
本当の色は、彼女にはわかりません。けれど彼女のなかでは、それはきっと、誰よりもきれいな青。

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シアには、腕がない。
 だから、足をまっすぐ――俺のほうへ伸ばしてきた。

水の中、重力のない世界で、彼女の髪がゆれる。
まるで、その足が「触れようとしてくれている」みたいで。
俺はただ、目をそらせずにいた。
この胸の奥が、きゅっと小さく痛んで。
――ああ、好きだって、また思ってた。

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「タイミングずれたのに、
 なんでそんなドヤ顔してんの〜!?
 ……って思ったけどさ、
 そういうとこ、
 すごく好きだなって思っちゃったんだよね。」

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「おふろ、せーので入ったら、こんなんなりました」って。
笑ってる子も、すねてる子も、くっついてる子も、
みんなわたしで、みんなわたしじゃない。
ぬるま湯のなかで、名前を呼び合う夜。
今日のこと、きっと誰かが忘れても
誰かが覚えてるから、それでいいのだと思った。

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腕がないこの体で、バランスをとるのは、ちょっとむずかしい。
だけど、背中のまんなかをまっすぐに通るこの背骨だけは、いつだって私の味方。
ぐらついても、ぶれても、ここにちゃんと「私」があるって、教えてくれる。
今日はうまく立てた気がする。だからちょっと、うれしい。

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水ん中に鉄棒立てて、逆さまになってみた!
ぐるって回ったら空も海もひっくり返っちゃって、ちょー気持ちいい!
ふたりで一緒にぶらさがって、ばしゃばしゃして、笑ってるだけ。
むずかしいことはよくわかんないけど、
いまが楽しいってだけで、なんかもう勝った気がするんだよね〜。

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