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雑。デナム論稿によりますと、負債や借金の清算で家財が競売にかけられる際でも、「ゆりかご」だけは除外されるのが古来からの英国の慣習であったとのこと。となると、大切なものをゆりかごに潜ませることも考えられましょう。魂の売買契約書やグリモワールの隠し場所候補として。絵はスプーナー。
さて2月。英国伝統の花暦では、二月を代表するスノウドロップがぬかるむ野原を清め、ヴァイオレットを迎える準備をします。シンボリズムをおおざっぱにまとめますと、白はマリア、赤は血を流すキリスト、青は空にまします神、青と赤を混ぜる紫は聖霊なり。絵はいつものネリー・ベンソン。
雑。ヒイラギといえば冬場に目立つ植物の代表格。なんでもその樹皮に生じる独特の「しわ」が字に見えるとのことで、デヴォンではこれを「ピクシーの恋文」と称してメッセージを得ようとするのであります。樹皮占いとでも申しましょうか。面白きかな、と。絵はいつものネリー・ベンソン。
雑。1月17日の聖人は聖アントニウス。いつもブタを連れてらっしゃいます。そのためかどうか、プタはあちらでは四葉のクローヴァーと並ぶラッキーシンボル。まるまる肥えたブタは豊かさの象徴なのでありましょう。バッジやペンダントヘッドにもよく見られます。
雑。さてクリスマス節も終わりまして、次なるフォーチュンイベントは1月20日夜の聖アグネス前夜。乙女がこの夜に絶食して就寝すると将来の伴侶の夢を見るというあれです。準備としては午前中から真珠の髪飾りとネックレスをつけておいて、就寝時に外すこと。絵はレジナルド・サヴェージ。
雑。昔の結婚式のフォークロアを調べますと、ウェディングケーキを花嫁の頭の上で壊すという妙な記述が見つかります。現在のライスシャワーはその名残とか。ケーキをぶつける例もあったようですし、それなら真正面からクリームパイも。祝いの席はやっかみ半分の呪詛が飛び交う楽しい戦場なのです。
祝祭。1月6日は「トウェルフデイ」、クリスマス節の終了日。19世紀には「豆入りケーキで王様ゲームをやる日」程度にしか思われていなかったそうです。田舎のほうでは「牛の角にドーナツを挿す」奇習の日とのこと。保存食のヴァリエーションがない時代、目先を変えることは重要なのでありましょう。
雑。「寒い冬の夜は炉端で怪奇小説を読め」と記したのは M.R. ジェイムズだったか平井呈一だったか。クリスマスから十二夜までの聖なる期間は魍魎跋扈のシーズンであります。インゴルツビー伝説につけられたラッカムの挿絵も暗い暗い暗い。陰鬱なる英国の冬はそれなりにピクチャレスクなり、と。
雑。スコットランドの冬の嵐はだいたい魔女の仕業とされておるのですが、なぜか地上ではしわくちゃの老魔女さんが、空を飛ぶときは妙に若々しく美しくなるという話がありまして。ラッカムのこの絵もそのあたりを踏まえておるのかも、と。