TOMITA_Akioさんのイラストまとめ

［補説］エリクトニオス伝説にはもう１つ大事な要素がある──アテーナーはエリクトニオスを箱に入れ、箱を開くことを禁じたた上でケクロプスの王女3人に預けた。しかし彼女たちが箱を開いたところ赤児を巻いている大蛇（ないし下半身が蛇形の赤児）を見て発狂、アクロポリスより投身自殺したという。

希臘神話には、単性生殖の例が男神にも女神にもあるが、女神の場合はあまり抵抗がないのに、男神の場合は（例えばゼウスによるアテーナーの誕生ひとつとっても）いかにも不自然である。
生殖に卵子と精子が不可欠としても、より根源的なのは卵子であることは、現代の発生学の知見とも矛盾しない。

「道は本来的に聖性を帯び……かつ境界的な場・空間である。したがって……古代・中世以来の境界の色彩たる赤で道が描かれることは、いわば必然的な選択であると考える」（上掲書）。
その境界たる路傍に立てられるのが塞ノ神であり（希臘で云えば）ヘルメース像であり、路傍の神ヘカテー像であった。

「水は無色透明だ」と云ったフォロワーさんがいる。その光もやがては暗黒（冥）の裡に吸収される。空気とて同じことだ。して、水（あるいは空気）の色とは？
色（色彩）とは反射である。反射なくして色は出現しない。反射した像を反射すれば、それは鏡像となる。つまり、左右が反転するのである。

ミケランジェロの「天地創造」では、接触しているのは神の右手の指に対してアダムのは左手の指だ。これはうまく説明できそうだが、映画「E.T」では触れているのは左指同士だ。これも包摂しなくては説明にはならないだろう。

この混乱は後代まで続く。天蝎宮は「四大では水に対応する」（『イメージ・シンボル事典』）。「占星術師にとっては、水の印であり、神話学者にとっては冥界の動物」（『動物シンボル事典』）。「激烈な性質のせいで、サソリの類は鳥になることがある」（『世界シンボル大事典』）。

古代希臘には墓場でἍρπυιαに供物を捧げる習慣があったという。ここからすると、霊魂導師である犬との共通性も見られるし、彼女らはゼピュロスと交わってアキレウスの神馬クサントスとバリオス、ディオスクーロイの神馬ハルパゴスとプロゲオスの母となったことからすると、馬との関係性も見られる。

先ず、絶対的な存在であった三相一体の大女神が処女／母親／老婆に分裂させられていった。古代人の発想では処女／母親／老婆は１つのものの３相にすぎない。つまり三相一体のヘカテーこそが女なるものの実相であったが、希臘神話では最も下級の（犬と並ぶ）地位に貶められた。

アルテミスの本来の姿は、野性的ではあるが愛らしい処女神などでは決してない。そもそも、処女神が何時までも処女でいられるのは、結婚した男は細切れにして畑の肥やしとし、結婚したことを「なかったこと」にするからにほかならない。彼女の銀の弓とは月のことにほかならない。