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ノンマルトの末裔@読書さんのイラストまとめ


遠いところへ行ってしまった息子に代わって。

読んだ本の印象に残った一節でも記してみようかと。
感想を書くのがとても下手なのです。
#読書 #読書好きな人と繋がりたい #読書好きと繋がりたい

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「漕ぎ手ひとりひとりの力がひとつになり、動きが揃ったときにこそ、最高の結果をだせる。 我々もそうだ。職人ひとりひとりがつくりあげた部位がひとつになって一体の人形が完成する。ひとりでも手を抜いて、ろくでもないモノをつくろうものなら、いい人形はできない」

 「人形姫」山本幸久

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ふっと頭に言葉が浮かんだ。
ヤミハラ。自分の心にある闇を振りまき、押しつけ、他人をそれに巻き込むのは闇ハラだ。心や目の奥の闇が、外に沁みだしている。だからあれは、ヤミハラと呼べるのではないか。

 「闇祓」辻村深月

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線路は、すべての線路がいつかは壊されるように壊された。すべてが水泡に帰し、なにひとつ残らなかった。人々は意味と希望を求めたが、過去の記録は泥にまみれた混沌の物語だけだ。
涯もなく埋もれたその巨大な残骸、荒涼として彼方へと広がる密林。

「奥のほそ道」リチャード・フラナガン

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私は、山をなす毛玉を両手でかき集めて、ゴミ箱に捨て、もう一度『地味旅ムーン』を再生した。休みはあと五日あった。明日はまだ難しいとしても、あさってならもしかしたら出かけられるかもしれないなと思った。宿はまだどこか空いているだろうか。

「現代生活独習ノート」津村記久子

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「思い知るがいい。我の恨みを思い知れ」
「母ちゃん!」
キミ子が声を上げると、母は血走った目を合わせた。
「うちの家系はオレで終わる。キミ子、おめさんは山谷さ嫁げ。そこで血をつなぐんだぞ」
そこにはもう、控えめで優しかった母はいなかった。

「うらんぼんの夜」川瀬七緒

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ふと、咲真に視線を移したとき、胸が波立ち、なぜか泣きたくなった。
こんなにもあたたかい光に照らされているのに、彼の横顔には寂しそうな翳が宿っている。ぬいぐるみを抱え、少し目を細め、薄い唇をぎゅっと引き結んでいた。

「チグリジアの雨」小林由香

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国境はなにかかから、国境の内側にいる人を守っているものみたいな気がしてた。けど、だとしたら、なにから守っているんだろう。昨日のお隣さんとの間に今日壁を作ることで、なにからなにを守っているんだろう。

 「やさしい猫」中島京子

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不意に胸に甦ったのは千代保のことばであった。人の命は虫けらよりも軽いと千代保は言った。村重は、続けて何かを思い出しかける。千代保はほかに、何を言っていたか。何が世の習いと言っていたか。
――奇瑞。
奇瑞が人を救う。千代保はそう言っていた。

 「黒牢城」米澤穂信

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「遊びじゃ、秀吉どの…」
ふいに、飛び加藤が言った。
「遊び?」
何のことか。
「この世の全てのことじゃ。いずれにしろ、死ぬるまで、いかにこの世をおもしろう過ごすか、そういうことじゃ…」
 
 「JAGAE 織田信長伝奇行」夢枕獏

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私は負けじと言った。
「たとえ今すぐ何かが変わらないとしてもです。ただ黙ってはいないということを何度でも見せてやるべきなんです」

 「三十の反撃」ソン・ウォンピョン

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