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「でも、好きな相手とおなじ空間にいて、会話ができるなんて、よく考えてみたら、それだけで幸せなことだろ。それ以上を望んだりするから、苦しくなるんだって」
笹川はどこか遠い目をして、そんな事を言った。
「きみの傷跡」藤野恵美
#読了
#読書垢
#読書好きな人と繋がりたい
「ひとつひとつやっていけばいいと思うんだ」と曜子は言った。「不安だって迷ったって、ちゃんと自分の頭で考えて」
「自分のやってることが全部、自己満足に思えても?」
「結局生きるのは自分だから。自己満足でもなんでも」
「9月9日9時9分」一木けい
「死なないって約束はできない。人には何が起こるかわからないから。でもこれだけは約束する。もし死んだとしても、必ず化けて出てやる。そっちなら、約束できそうな気がする」
「天使と悪魔のシネマ」小野寺史宜
雪はどんどん激しくなる。風も出てきた。俺にも母にもあっという間に雪が積もる。
――妄執の雲晴れやらぬ朧夜の。
「鷺娘」の歌い出しがふっと浮かんだ。そうだ。今、俺達は妄執の雲から吹き付ける雪にまみれている。
「紅蓮の雪」遠田潤子
走っているのは自分だけだと、なぜだか思っていた。でも違う。依千佳も、あの人も、本当は走っていたのだろうか。それぞれの草原で、それぞれのゴールを目指して、一人で。
あの人のゴールはなんだったのだろう。
「草原のサーカス」彩瀬まる
女性の参政権の戦いは議会投票券を得るための戦いというだけでなく、社会における助成のあり方を変える戦いでもありました。助成に対する世間の概念はもちろん、女性位自身の考え方も変える必要があったのです。
「義足をつけてからは、どの部分にどう力を入れて歩けばいいかを考えるようになったんだけど、ほんと人間の身体はよくできているよね。長い長い進化の歴史の結果だと百も承知だ。……
流れ出したのは、子守唄だった。
速くなったり遅くなったり、たどたどしかった旋律は、やがて安定した。素朴な音色を、美咲は呆然として聴いた。
よく知っている曲だった。美咲自身が、何度なく歌った。悠人のために。
「ありえないほどうるさいオルゴール店」瀧羽麻子
「島崎くん、それくらいにしておこう。たしかに僕たちは犯罪捜査のプロかもしれないけれど、この事件はきっと、『犯罪』じゃなくて『疾患』だったんだよ。そして天久先生は『疾患』に『診断』をつけるプロフェッショナルだ。だから、私たちが負けるのもしかたないんだよ」
ねえ、君もあんなふうに、生まれてきたんだろ。君が生まれてきたことに震えるほどの幸福を感じた誰かが、どこかにちゃんといるはずなんだよ。もし実際にいなくたって関係ない。生まれてきた、それだけでもう君はそう思われるに値する存在なんだから。
「夜が暗いとは限らない」寺地はるな