ＫＥＩＮさんのイラストまとめ

「私は【人間】が好きです…私のような【化け物】が恋い焦がれるような精神を持つ貴方には…報われて欲しいのですよ」
名無しの女の言葉は蕩けるような囁きに聞こえる
「…貴女の教示など私には関係ありません」
「…そうですか…まぁ、その最後の命を存分に使ってください…【それがラスト】です」

「数多の思惑を一人で背負い【不老不死】の可能性を自らの計画の為に利用し母親の呪縛を解く為に全てを抱えて自らを悪人に仕立て上げ命を投げ出す…常人では耐えられないその精神を私に見せた…貴方のような【人間】を死なすには惜しいと思ったのです」
「……」
彼女の言葉に男は目線を反らす

「そんな幼馴染みの秘め事みたいに言われましてもね…」
「へ？もしかして私達、前世はそういった関係だったり⁉️」
「……」
茶化すジェーンに顔をしかめる
「……そんな顔しないで下さいよ、私が貴方に生を与えたのは貴方という人間に【好意】を抱いたからです」
「…【好意】？」

「ああ、それなら簡単な話です、貴方の御父上の頭の中を覗いたの覚えてますよね？」
「…待ってください、私にもアレを？」
「ええ」
「何時？」
「貴方の【素体】を作る時」
「…あの時ですか」
思い当たる節を思い出したのか
頭を抱える
「安心してください、これは貴方と私だけの秘密ですから❗」

「ふん…私はあそこで死ぬ筈だった、なのに…貴女の余計な御世話で死に損なった…いえ【死に蘇った】じゃないですか」
「悪党は2度死に蘇る、格好いいじゃないですか」
常人では理解しがたい語りをする
「…ところで、これはどういう事です？私は彼女について貴女に話した覚えはない筈ですが？」

「誰の事ですか？」
彼女の隣にいる男性が腕を組んで不機嫌に答える
「ああ、失礼しました❗いやぁ、知り合いに瓜二つどころか本人と見間違う程に似ていたものでうっかりしちゃいました」
「…わざとらしい」
飄々とした喋り方をする彼女に苦言を吐く
「まぁまぁいいじゃないですか、済んだ事ですし」

そんなやり取りをして病室から去っていく姿を遠くから観察する女性がいた
「いや～仕事が速いですね中佐殿は～」
名無しの女(ｼﾞｪｰﾝ・ﾄﾞｩ)である
「これで彼女にちょっかいを出そうとする不届き者もいなくなるでしょう❗いやー今亡きロイドさんの心配事が減りましたね❗ね、【ロイド】さん？」

「解りました、紳士的な格好で参上します」
「楽しみにしておきます」
そのやり取りを最後に部屋を後にする
退出と共に後ろをオルガがついていく
「首尾は？」
「既に配備してます」
「そうか」
部下の仕事の早さに感心する
「で、スーツはタキシードを用意します？」
「そこまで用意せんでいい‼️」

「はい…あ、もう１ついいですか？」
「なんでしょう？」
目を被う包帯を取り外しグレイソンの方を向く
「…この目が見えるようになったら、グレイソンさんの顔を見させて下さい」
「自分のですか？」
「はい、もしもの時に文句を言わないといけない人の顔はちゃんと見ておきたいので」
(そうきたか)

「時間を取らせていただきありがとうございました」
話が終わり席から立ち上がる
「いえ、私もロイドの事を話せて良かったです…お陰で、手術に挑む勇気も出来ました」
「手術というのはもしや眼の？」
「はい、明日からなんです」
「そうだったんですか、手術の成功を祈ってます」