ＫＥＩＮさんのイラストまとめ

『兄上は覚えてないでしょう…貴方は一度この惑星に訪れ命じられるままに殺し回った事を、このＮシティで戦った後メディカルチェックの為に秘密裏に帰国した事を…ね…』
「ああ…あああ……‼️」
ハインケルは狼狽える
混濁する記憶、その中に「身に覚えのない経験」がフィードバックされていく…

『兄の誕生には、最初こそ喜んだ父上でしたが…所詮は実験途上の計画、余りにも欠点だらけでした…遺伝子的変調により不安定な体を治す為に定期的なメディカルチェックを必要とし強固な精神手術を施さなければ抑えられない狂暴性…父上の心は既に兄上から離れてしまった…』

『30もの試験管ベイビーの中から選りすぐられ産まれた一人の【息子(化物)】。後に我が父に引き渡された際に付けられた名は【ハインケル】…そう、特務部隊の隊長にして我が兄は、ベーゼン家の呪いにより産まれた存在だったのですよ』

ロイドが公表するその事実は
聞くもの全員を驚愕させる

「俺は…どうやって…産まれた？」
当然の疑問が生まれる
『当時最新の技術として提唱され軍が中心となって研究されていた【クローン兵士計画】それに目を付けた父上は、計画に協力する代わりに自身の遺伝子を提供したのです…『自分の子供を作らせる』為にねぇ？』
「ま…まさ…か…」

「な…何だ…て…父上が…？」
混濁する思考の中、通信の内容、その情報に疑問を抱く

自分は『バイロン人』の母との間に産まれた子であること

父にそのような『奇病』があるという話は聞いた事がないこと

そして他の兄弟達は『支配惑星から連れてきた女達』から産まれた子であること

であるならば

『バイロン至上主義を掲げるベーゼン家にとってこれ程にもない呪いはなかった…下手をすれば手にしたモノ全てを失う恐れがあります…さて、父上は何を成したでしょうか』
『養子を迎え入れる？違う』
『友好関係にある他惑星の女を娶った？違う』
『文字通り【作り出した】のですよ…自分の子を…』

『ベーゼン家は血筋に固執する余り兄妹同士での婚姻を続けてまいりました…しかしそのせいか、身体的に精神的に異常を来す子孫が産まれる事がありました…当然、我が父もその例に漏れず…不幸な事に【バイロン人同士で子を成す事が出来ない】奇病に陥ったのです』

『さて、皆様も何故父上がこれ程の蛮行に移したのか…知りたいですよねぇ？』
一呼吸置きロイドは次の話を紡ぐ
『栄えあるベーゼン家に産まれ多くの兄弟達と策謀渦巻く世界を戦い抜き、見事家名を名声を財産を手にしましたが唯一手にする事が出来なかったモノがありました…』
『生殖機能、です』

『それは貴方の招いた結末でしょう？』
「……」
『貴方が自らの【奇病】に悩まされ克服しようとしてきたことへの代償ですよ』
「っ！？　き、貴様！！何故その事を⁉️」
『ふっふっふ、折角ですので父上が何故これ程の凶行に移したか…皆さんにも知って頂きましょうか』
「や…やめろぉ…！！！」

「バルトフェルト様、作戦本部に兵達の抗議が殺到してます‼️」
「如何致しましょう⁉️」

混乱する現場に周りの兵達や側近達はバルトフェルトに指示を請おうとする

「何故だ…何故こうなる⁉️」

だが請う相手は目眩を起こしているのか、スクリーンを睨むも足取りが不安定だった