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出会いは大学の時だった。バイトしていた塾の教え子に告白された。奇麗な顔した五つ下の高校生。何度か断り、就職でバイトを辞めた。再会したのは赴任先の高校だ。いけないと思いつつ、拒み切れない。朝の教室。制服姿の彼が私を見てる。昨夜のキスの痕跡をタートルネックで隠した私は、一瞬彼を睨む。
結局、2年間も片思いして卒業だ。彼には奇麗な彼女がいて、入り込む隙もない。高校の屋上で、このまま死んじゃおうかなと遠くを眺める。その時、ふいに名前を呼ばれた。「彼女に振られた」。彼が憔悴しきってる。失恋で死ぬのは馬鹿じゃない? そう言って彼をハグする。私もやめよう。まだ死なない。
「ごめん、酔い潰れた彼の世話させて」。振り向くと、先輩の花嫁が笑ってた。新郎と新婦で別の三次会。私は高校の先輩だった新郎の会に招かれた。華奢な彼女が彼を抱える。頬へのキスを見られただろうか。別れ際、店の前で新婦が微笑む。「頬で留めてくれてありがとう。今後も脆いコイツをよろしくね」
新郎と新婦で別の三次会。私は「高校枠」で先輩だった新郎の会に出席した。酔い潰れた彼の「後始末」を昔の仲間に任される。机に突っ伏した寝顔を見つめ、あの頃のことを思い出す。素敵なお嫁さんだね。気持ちを思い出に変えるため、最後に一つ卑怯を許して。涙を拭い、私はそっと彼の頬にキスをした。
バレンタインから2週間。今さら彼に「チョコは義理?」と確認された。傷つくのが嫌で頷くと「ホワイトデーに本命返すか迷ってた」と彼が呟く。え、それって私を好きってこと? 「……そうだけど、お前がくれたの義理なんだろ?」。私は深く息を吸う。チョコでは届かなかった甘い思いを打ち明けよう。
会った瞬間気がついた。婚約者と訪れた挙式場。ウェディングプランナーになった後輩と7年ぶりに再会した。高校時代、脆い彼女を支えられる自信がなく、想いに気づかぬふりをしてた。垢ぬけたスーツ姿の彼女を眺め、いい恋しているんだろうなと想像する。奇麗になったな。次はお前が幸せになるんだぞ。
失恋した、と女友達に愚痴をこぼした。打ち明けて、いい感じだなと思ったけれど、やっぱりゴメンと拒まれた。「残念だったね。まあ、悪いことの後にはいいことも待ってるよ」。そういやお前も「失恋した」と言ってたな。その後に何かいいことあった? 「あったけど、今話すと人でなしなので内緒です」
「子どもは相手にしないよ」。先生が微笑んだ。卒業直前、想いを告げて拒まれた。泣きながら美術準備室を後にする。スマホがないと途中で気づき、引き返した。扉にかけた手が止まる。隙間から微かに吐息が漏れてきた。相手にしないの子どもじゃなくて私なんだね。美術部の美少女が先生とキスしていた。