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「兄と妹の淡い恋なんてあり得るかな?」。唐突に高校生の妹が訊く。クラスの男子がそういうラノベを読んでたらしい。それな。妹のいないヤツの妄想だよ。そいつに惚れてるんなら安心していいぜ。「そういう訳じゃないけれど」と妹が頬を膨らませる。「お兄ちゃんのこと好きな妹、実在すると思うんだ」
先輩が卒業した。2年間、ずっと先輩を見つめてきた。想いを綴った手紙を書いて、渡すことができなかった。ガランとした3年生の教室をのぞき込む。ふいに背後から名前を呼ばれた。「忘れ物したんで取りに来た」と先輩が笑ってる。私も忘れた物があります。ポケットに入れたままの手紙をぎゅっと握る。
高校2年の終業式。4月から再び彼と同じクラスになれるかな。ふざけ合うのが精一杯。なかなか想いを告げられない。式の後、これでサヨナラだねー、とまた強がりを言ってしまう。「良かったよ」。やっぱりただの友だちか。彼の笑顔に胸が痛む。「受験なのに、教室にお前がいたら、勉強に集中できない」
喧嘩して、受験も重なり、彼とは連絡が途絶えてた。受かったのは第四志望。両親を説得し、浪人を許してもらう。これで恋もおしまいだ。予備校に資料を取りに行く道すがら、同じ資料を抱えた彼に出くわす。意外にも全滅したらしい。こんなとこまで似た者同士。あと1年、次こそ恋と受験を両立させよう。
浪人が確定した。昨年末に些細なことで彼女とこじれ、音信不通。成績が足踏みした。予備校で資料をもらった帰り道、近くで偶然、彼女と出会う。「全滅したの!?」。悪いかよ。お前ともこれで完全に破局だな。彼女はニヤリと笑い、別れ際に囁いた。「次は少し上手くやろうね。私も資料、取りに行きます」
彼は色々評判が悪い。「遊び人」「過去にはセフレも」。交際を始める際、友人から忠告された。今日、初めての夜。デートは完璧、ホテルに誘うのも慣れていた。噂は本当なのかな。私を脱がそうとして、彼がなんだか焦ってる。なるほど、この程度なら安心だ。私は微笑み、自分でフロントホックを外した。
「第一志望受かったよ。合格祈願ありがとな」。先輩から電話があった。春から上京だね。良かったですねと口にして、涙を拭う。ずっと片思いしてた。だから神社にお参りした。先輩は地元大学には合格済みだ。これは神様が与えた罰だね。祈った言葉を胸の中で反芻する。先輩が東京には行きませんように。
昨秋に同級生から告白された。勉強も運動もできる人気者。何で私なのかと戸惑って、しばらく答えを留保した。ずっと待つよと彼は言う。「いいヤツじゃん」。相談した幼なじみはそう笑った。私は決める。3か月も待たせたけれど、彼にYESと伝えよう。一番近くの相手には、ちっとも想いが届かないから。
彼が街路樹を見上げてる。「ごめん、ちょっと考え事してた」。笑って詫びる彼に気づかぬふりで、笑顔を返す。3年前、彼は大事な人を失った。彼女は私の親友だった。思い出も含めて彼を丸ごと愛してるけど、やっぱり春は少し切ない。街が薄紅色に染まり始める。天国で、サクラは元気に過ごしてるかな。
同じ部活の彼に恋していた。言えぬまま、卒業を迎える。彼の進学先は東京だ。部のパーティーの帰り道、お酒のケーキで酔ったふりして彼におぶわれる。黙ったままで別れよう。そう決めたのに、大きな背のぬくもりに想いが溢れる。送ってもらった自宅前。私は最後の勇気を奮う。「遠距離はダメですか?」