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母の日にはカーネーション、退職祝いやお見舞いには小ぶりな花束。彼はちょくちょく花を買ってくれる。18歳でバイトを始めてもう2年。名前も知らない年上のお客さんに惹かれてた。ある日、彼に声をかけられる。一瞬喜び、涙を堪え、私は花を見繕う。彼が笑顔で繰り返す。「好きな子に贈りたいんです」
海から帰りため息つく。夏の終わり、中2の彼女に誘われた。アイスを舐めて散歩する。彼女は終始ご機嫌で、別れ際「これあげる」と海辺で買ったお土産まで贈られた。変なヤツ。全く緊張していない。やっぱ俺の片想いかな……。イルカのキーホルダーを握り締め、勇気を奮う。あす俺も想いを送り届ける。
夏の終わり、中2の同級男子を海へ誘う。浜を歩き、氷菓を食べ、別れ際、さっき買ったイルカのキーホルダーを手渡した。「一緒に行って土産かよ。変なヤツ。また二学期」。彼は苦笑し去っていく。結局何も言えずにいた。私には秋がないこと、土産じゃなくて餞別だってこと。あす父の転勤について行く。
制服のカップルがスタバで受験勉強してた。男子はチラチラ女子を見ている。わかるぞ、手につかないその感じ。「そうなんだ」と隣で大学生の彼女が笑う。あの時は結局僕だけ不合格。人生詰んだと絶望した。「でもこうしてつき合えてるじゃん」。全く人生塞翁が馬だ。僕は一浪、今カノは現役大学1年生。
彼とスタバに訪れる。制服のカップルが、向かいの席で勉強しながらじゃれていた。高3の夏休み、私たちもこんなふうに過ごしてた。あれから2年か。「どうかした?」と大学2年で同級生の彼が訊く。少し昔を思い出してた。「あの2人、受験上手くいくといいな」。そうだね。浪人した元カレは元気かな。
「運動部で足挫いた」。高校の帰り道、幼なじみが顔をしかめる。子どもかよ。ほら特別におぶってやる。「背中広くなったよね」。体を預けた彼女が囁く。……お前もガキじゃねえんだな。「え、やっぱり重かった?」。前かがみにしゃがみ込み、3分待て、と俺は呟く。細身だよ。なのに隠れ巨乳は反則だ。
高校の運動部で足を挫く。帰り道、幼なじみが「痛そうだな。ほらおぶされ」と背を向けた。厚意に甘えて体を預ける。気づかぬうちに背中広くなったよね。うっかり異性を意識しそうだ。「お前もな」。呟く彼が、前かがみにしゃがみ込む。ごめん、重かった? 「重くはないが……。男子の事情で3分休む」
「先生」が私の背をさする。「推しの彼は帰ってこない」。デビュー直前、同棲中に捨てられた。手首を切り、この閉鎖病棟に運ばれた。さっき一緒に生のテレビで引退宣言聞きましたよね? 3年ぶりに、やり直そうって手紙がきました。私は近く退院です。早く治るといいですね。「先生」だという妄想も。