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「リープしてえ」と17歳の彼が言う。夏休みもあとわずか。一学期の終業式まで戻りたがってる。私は先に進みたい。「また高校始まるぜ?」。それは確かにその通り。でもね、この夏を繰り返すのは嫌なんだ。終業式の帰り道、彼の家に立ち寄った。感激したけど恥ずかしく、痛かった。初めては一度で十分。
アイドルの娘の人気が落ちてきた。母親でマネでもあるから理由はわかる。俳優との秘めた恋に夢中なのだ。結婚を匂わせる彼のLINEの言葉は虚飾。あなた自身もファンに無垢を装ってる。ほとぼりは必ずさめる。また輝いてお金も稼げる。引退は許さない。娘のスマホのスクショを撮り、週刊誌にリークする。
週刊誌に俳優との交際を暴かれた。LINEのスクショも掲載され、アイドルの私は釈明できない。引退したいとマネの母に相談する。「みんなそのうち忘れるよ。彼と別れてまた輝こう」。母に優しく慰められる。彼には着信拒否された。「結婚しよう」と言ってた彼も、ファンに無垢を演じた自分も、嘘つきだ。
「限界だ」とバイト帰りに彼女は泣いた。母子家庭の高校生。母が倒れ、介護の傍らバイトを始めた。同い年で父子家庭だからよくわかる。もう2年、僕も父をケアしてる。不運が重なり僕らは出会えた。「それを幸いと思わなきゃだね……」。ああ。でもこの幸せは脆く儚い。親の死を子どもたちは願えない。
母子家庭の大黒柱の母が倒れた。高校から直帰して、母を介護しバイトに出る。「母親がいなければ君はいない。倒れなければ僕とも出会わなかった」。簡単に言わないで、とバイト先の彼をなじる。「ごめん。そう考えないとやってられないのは僕の方だ」。初めて知ったよ。彼は父子家庭の父をケアしてる。
高校の同級生に告られた。イケメンだけど隠れヲタクの匂いもする。あの漫画の粗筋は? 「胸アツだよな」 このラノベは? 「萌え展開に即死する」。全問正解。やっぱりあんたヲタクだね。「……あのさ」。何よ。自白するなら今のうちだわ。「漫画もラノベもマニア向け。なぜ正解だってわかるんだ?」
高校の同級生が家に来る。告ったけれど、答えはまだだ。「わ、こんなの読むの?」。ラブコメ漫画を発見された。いや、ヒロインに好きなお前を重ねてるんだ。「私、2番目のつもりなんだけど」。帰ろうとする彼女に追いすがる。ごめん、もう買いません。『クラスで5番目に可愛い子に恋をした』の続巻。
「覚悟決めたわ」。高2の幼なじみが自室のベッドで目を閉じる。うん? 「……やり残した夏休みの宿題なんでしょ?」。ああそうだ。一緒にやってほしいとお願いした。「だから……いいよ、保健体育❤」。だったら寝ずにジャージに着替えろ。「え、本当に宿題出てたっけ?」。いくぞ5キロの長距離走。
「夏休みの宿題をやり残した!」。17歳の幼なじみが部屋に来る。そうだっけ? 数学に感想文、英文和訳。私と随分やったはずよ。「いや、大事なものを残してた」と彼が私ににじり寄る。近い近い! だから何よ? 「一緒にやってほしいんだ」。もう……出ていなかったじゃない、保健体育の宿題なんて❤
よく行く花屋でバイトの彼女に相談する。「好きな人に花束贈る? そういう方がいたんですね」。これまでの2年間、母の日やお見舞いの花ばかり買ってきた。年下の彼女には、さぞやモテなく見えただろう。花束を見繕い「上手くいくといいですね」と微笑まれる。いやそれは、まだ名前も知らない君次第。