魔の山さんのイラストまとめ

イングマール・ ベルイマン 『狼の時刻』朝と夜が重なる時間、人が死に人が生まれる狼の時刻…無意識の恐怖が暴れ出す…。孤島に移住した人間嫌いの画家と妻、夫の書いた日記…不安恐怖妄想愛人苦悩…招待された男爵の住む城の不気味な住人達。現実と妄想が交錯する幻想的映像美。実存的不安を描く秀作

マイケル・ムーア『ボウリング・フォー・コロンバイン』コロンバイン高校銃乱射事件を題材に銃社会米国の病理に鋭く斬り込む傑作。ユーモアと辛辣なアポなし突撃取材で対象の懐に飛び込み本音を引き出す。ｋマートに乗り込み銃弾販売を中止させ、カナダとの比較で銃規制だけでない問題が浮き彫りになる

ジャ・ジャンクー『青の稲妻』　急激な経済発展が進む中国、取り残された地方都市に住む二人の19歳無表情無気力な青年の刹那的生き様。ヤクザ絡みのダンサー、受験生、それぞれの恋の行方…。日常音、テレビの音、話し声の音響と手持ちカメラ長回し。物語性、情感を排し、乾いたタッチで淡々と描く佳作

フー・ボー『＃象は静かに座っている』全編を覆うペシミズム。暗い！内容も画面も…顔は影に沈み遠景は霞む。作品を残し自死した29歳の監督が見る救いのない世界…人間の悪意悪罵が飛び交う。耐え難い世界を生きる4人が交差する群像劇の秀作。遥か遠くの地に座り続ける象の存在にみる絶望の果ての光…

枝優花『少女邂逅』いじめに遭う女子高校生が飼う蚕(かいこ）ツムギ。閉ざされた世界から救い出す“まれびと”としての転校生ツムギ。この謎の少女とは？蚕というメタファーを通し、変身願望、思春期の影の部分を繊細かつ透明感のある映像で描く佳作。二人の初々しい存在感、オリジナル脚本、監督の才気

今村昌平『女衒 ZEGEN』明治後期から昭和初期、東南アジアで女衒で財を成す男の半生をエネルギッシュにあっけらかんと描く佳作。貧困で他国に売られた少女達"からゆきさん”の別側面。外貨獲得、お国の為との信念の下、売春業に勤しむ男と女の逞しさしたたかさをドロドロの人間臭さでユーモアたっぷりに

大林宣彦『異人たちとの夏』一夏の不思議な体験…。妻子と別れ一人住む男。生まれ育った浅草で12歳で死んだ両親と出会い交流する。同じ頃、同じマンションに住む謎の女性と愛し合う。男はなぜか衰弱してゆく…。男と幽霊との間の情感情愛の機微、ノスタルジックな浅草、切なく感動的で陰と陽を描く佳作

トッド・ フィリップス『ジョーカー』善と悪、喜劇と悲劇の淡い境界…人間は状況次第で変わるし人をも殺す。孤独、承認欲求という実存と貧富の差という社会性。蔑まれた人間の怒りと恨み、人間性の毀損や社会矛盾を描き現代社会を照射する。ホアキン神懸かる圧倒的人物造形、際立つ映像音楽演出…傑作