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たかしまてつをさんのイラストまとめ


画家/イラストレーター。酒を飲み、猫を愛で、ギターの練習をしたり、そして絵を描く、わりと静かに楽しい毎日を過ごす者です <´ `
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【23】運動場にも先生はたまに来るのだが、小競り合いくらいは注意しない。そういう学校だった。「どうしてもナイフで刺す時は肩の外側を狙うんだ。動脈に当たらないからな」と笑いながら言っているジェフが怖かったが、それでも笑わないとチキンになると思って笑った。

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【21】それからジェフにペリースクールの中を案内してもらった。ひとつずつ、先生は教えてくれないルールをジェフが教えてくれる。運動場のうち、白人が固まっているセクション。黒人だけしか入れない路地裏。マリファナを売っている中学生がいつもいるところ。

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【20】言っていること以上に、その時のジェフの行動が日本の学校とここは違うことを教えてくれた。ロドリゲスにびびらなかったことじゃない。確かにぼくは見た。ジェフはロドリゲスに十円玉は二枚しか渡していなかった。あと一枚は、きっとジェフのポケットの中だった。

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【19】「金もこれしか持ってないんだよ」そう言って、ジェフは十円玉を差し出して肩をすくめた。ロドリゲスはちっと舌を鳴らして、一回肩をぶつけて去って行った。「あいつら、ほんとはナイフ使う度胸ないんだ。でも、なめられたら終わりだよ」

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【18】「ジャップ、金持ってきたんだろうな。じゃないと今日が命日だ」とナイフを突き出すロドリゲス。ぼくは一歩も動けなかったが、ジェフが横から飄々とした声で言った。「ロディ、勘弁してやってくれよ。こいつは貧乏だからまともな日本の学校に行けないんだ」

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【17】食堂は賑わっていた。入った途端にロドリゲスに見付かる。不良グループがこっちを指差しているのが見えた。ジェフが「金持ってるのか」と言うので、とっさに三十円渡した。ロドリゲスがナイフをパタパタさせながらやってくる。ぼくは足が震えて止まらなかった。

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【16】「食堂行こう」とジェフは言った。ぼくが絶対いやだと言うと「分かってねえな。ここで行かなかったらチキンの烙印押されるぞ。毎日がヘルになってもいいのか」そう言って、ジェフにひっぱられて食堂に連れて行かれた。敷地内の教会のベルが弔いの鐘に聞こえた。

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【15】「下はなんていうんだ。ここじゃ下が大事なんだ」とジェフは言う。「ムーコヤマ」と答えると、ジェフは首を傾げた。発音できないらしい。「いいや。おれはジェフでいい。仲間以外には姓を使え」よく分からなかったが、「仲間」という言葉が泣くほどうれしかった。

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【14】「弁当半分よこせ」少年が言った。「おまえの弁当うまそうだから、食わせてくれたらおれがここでのルールを教えてやるよ」食欲はまるでなかったので、弁当はすぐに差し出した。「おれはジェフ・ギブンズ。おまえは?」と聞かれて「テディ」とアメリカ名を答えた。

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【13】「ロドリゲスか」といきなり横から声をかけられた。見るとそばかす面の少年が覗き込んでいた。びくっとなったが、少年は同じクラスの子だった。「ロドリゲスが怖いんだろ」と言われて、それが昨日のラテン系の名前だとすぐに気が付いた。「うん」とぼくは答えた。

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