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フレッド・ジンネマン監督作、Eyes in the Night (1942)を見る。盲目の探偵が科学者の妻が関係する殺人の捜査に乗り出すが、事件は軍事機密を狙うスパイ網の暗躍に発展する。名優エドワード・アーノルドが座頭市ばりの凄腕に扮したスリラーで、悪漢との丁々発止の攻防や愛犬の活躍など存分に楽しめる。
ノエル・カワード&デヴィッド・リーン共同監督作、軍旗の下に (1942)を見る。英海軍の駆逐艦がクレタ島の戦いで撃沈、漂流する生存者たちの回想で様々な人間模様が語られる。戦意高揚映画としては愁嘆場の多い作品だが、そうした悲劇や苦難の一つ一つが結果的に戦う意義を謳い上げる構成に感心する。
ビリー・ワイルダー監督作、少佐と少女 (1942)を見る。帰郷する旅費不足から12歳の少女に化けた女が、親切な陸軍士官のために演技を続けざるを得なくなり...。仮装の下に真実の心の交流があるという、後の“お熱いのがお好き”にも通じるワイルダー監督の聖林デビュー作。洒落たやり取りに最後はホロリ。
稲垣浩監督作、獨眼龍政宗 (1942)を見る。戦乱続く奥州を平定すべく、若き伊達政宗が奸計渦巻く戦国の世を駆け抜ける。国策により誕生した大映が放つ大作時代劇で、卑劣な敵に真っ向勝負の武将が大日本帝国の勇姿と二重写しになるという趣向。ダイナミックな稲垣演出が御大千恵蔵を大いに盛り立てる。
ジョン・ヒューストン監督作、マルタの鷹 (1941)を再見する。探偵サム・スペードはとある美女の依頼を切っ掛けに十字軍の財宝を巡る暗闘に巻き込まれて行く。語り口もキャラ立ちも申し分なしで、これが初監督作とは“栴檀は双葉より”の諺通り。ボガート氏もシニカルな役柄を大いに楽しんでいるご様子。
中川信夫監督作、虞美人草 (1941)を見る。明治の末、資産家の惣領だがインテリで気鬱な兄と、その腹違いの妹で女王様気質の令嬢を中心に様々な人間模様が展開する。複数の縁談話をダシに、新時代の気風とその弊害に対し、個人はいかに立つべきかを語るいかにも漱石的世界。毒娘役の霧立のぼるが見事。
ラオール・ウォルシュ監督作、ハイ・シェラ (1941)を再見する。特赦で出所した名うての犯罪者が、最後の一仕事としてリゾートホテルの金庫を狙うのだが。ボギーによる、その道のプロの造形が見事の一言。善人の一面を持つものの、現世での救済は決して訪れない皮肉な脚本は俊英ジョン・ヒューストン。
成瀬巳喜男監督作、なつかしの顔 (1941)を見る。出征中の息子がニュース映画に出ていると聞き、母と嫁はそれぞれの思いを胸に映画館を訪れるのだが。30分強の短編ながら、ひとつひとつの描写が暖かく、切なく、気づかいの嘘がこんなにも胸を打つ作品も珍しい。時局すら見事に調理する成瀬魔術の一本。
キャロル・リード監督作、星は地上を見ている (米国公開版 1940)を見る。社会改良を目指して大学に入った炭坑夫の息子が、大志を見失ううちに恐れていた炭坑事故が起きてしまう。労働者階級のリアルな描写など流石の腕前だが、優柔不断な主人公に魅力が乏しく不発気味。辛口の味わいに英国風を見る。
ジョージ・キューカー監督作、フィラデルフィア物語 (1940)を見る。マスコミ嫌いの令嬢が再婚を発表、前夫やゴシップ記者が入り乱れる騒動に。Cヘップバーンのための当て書きだけあってその輝き方は申し分ないが、甘やかされたバツイチ令嬢の成長譚をロマンチックと思えるかどうかで観る者を選ぶ作品。