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同じように、コマに微妙な傾斜を付ける技法は、他の作家にも時折見出される。引用画像は曽田正人『昴』8巻36-37頁(※水色の強調は引用者による)。直角の四角形を外すことにより、ダンサーの張り詰めた劇的緊張が漫画的に表現されている。こういう細やかなコマ割の演出的構築にも気づいていきたい。
青山氏がソフトハウスキャラでメイン(トップ)ヒロインを務めたのは、本作が最後(※その後もヒロイン級で何度も出演されているが)。それ以外のキャストも10年代前半らしく充実している。桃組声優もほぼゼロ。それだけに……惜しい。
総評。「ソフトハウスキャラお得意の防衛戦SLGの枠組に、交渉パートで一味追加した」というアプローチは良いと思う。しかし、SLGパート/AVGパートのどちらも広がりに欠け、双方の連動もあまり成功していない。作品規模が小さいわりに、アンバランスな一作だった。
同一のマップに、同じ敵キャラクターが何度も真正面から攻めてきては、毎回同じ落とし穴にハマっていくというのも、あまり印象がよろしくない。有能な指揮官の筈なのに……。定型的に反復される活動を効率的に表現できるのはSLGの長所だが、下手に繰り返すとキャラクターが愚か者になってしまう。
つまり、諸勢力との交渉コマンドを設けたのは、意欲的な試みではあるが、作品全体の構成としては不徹底なものだった。大掛かりなドラマ的変転が起きるわけでもなく、資金獲得や兵員確保のための補助的な機能に終始した。
今日は『門を守るお仕事』(2012)について。ソフトハウスキャラ第19作。舞台は近世的世界。傭兵団のリーダーとして、敵国の侵攻から都市を一定期間守り抜く防衛戦SLG。
総評。AVGパートは魔族社会のリアリティを丹念に描いたという意味でソフトハウスキャラ共通世界の集大成であり、また、RPGパートはダンジョン探索に絞りつつマップ内に様々なギミックや大量のイベントを投入した大作シリーズだった。
作劇の点でも、第1作は、ある迷宮の魔族社会のリアリティを掬い上げるような、暗めの陰謀ドラマ。第2作は、天界の勢力を次々に打ち破っていく華々しい大戦争。そして第3作は、大樹の村を開拓していく瑞々しく豊かな物語。それぞれに個性的だ。
紅村かる氏が描く魔物たちは、本格派の異形デザイン揃いで、しかもヴァリエーション豊富だ。たいへん見応えがあるし、魔族社会シチュエーションの物語に大きな説得力を提供している。