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「誰にマフラー編んでるの?」。高校帰り、幼なじみの彼が訊く。秘密だよ。「どんなヤツ?」。勉強も運動も容姿も平凡。鈍くてかなりの中二病。「……俺と全然違うじゃん」。でもいいとこもあるんだよ。「マジなのか……。だったら俺は応援するよ」。俯く彼に心で囁く。そういうとこだよ、好きなとこ♥
17歳の幼なじみがマフラー編んでる。「誰にあげるか? へへ、秘密」。なるほどね。これはアレだな。実は身近な俺に惚れてるってやつ。「イケメンじゃないのよね」。うん? 「勉強も運動も十人並みで」。え? 「中二病だし、まるで自己認識ができてない」。俺に全く当てはまらねえ。誰だよ、そいつ!
中学の同級生と田舎の駅で出くわした。「お前、こんな深夜にどこ行くの?」。私の手足の傷を見ながら、優等生の彼が訊く。彼の服にも血が滲んでる。終電に乗り込むと、彼が黙ってついてきた。そっか、君も訳ありなんだね。この列車、どこに到着するのかな。私を玩具にし続けた、継父の首を絞めてきた。
中学の同級生が、セーラー服で駅のベンチに座っていた。「深夜に優等生がどこ行くの?」。話しかけられ僕は驚く。無口で陰気、こんな笑顔は見たことない。「制服に血がついてるよ」。お前も手足が擦り傷だらけだ。僕は彼女と知らない街への列車に乗り込む。ポケットに、毒親を刺したナイフをしのばせ。
あれ、20歳の娘の親友だ。3連休の商業施設。少し前、「パパ、前にうちにも来たじゃない。旅行の相手、その子だよ」と娘に言われ、LINEでのやりとりも見せられた。アリバイ作りか。やっぱり男とお泊りなんだ。けしからん! 「そう?」。妻に笑顔を向けられる。「あなたなんて高2で工作してたでしょ」
女子大の友人は美しい。常に異性に振り向かれる。「羨ましい? むしろ私は、あなたみたいに一人の彼に5年も想ってもらいたいよ」。平凡な私には、もう彼への情しかない。彼も同じだ。でも孤独が恐ろしく、次が見つかる保証もなくて、お互い惰性で続けてる。私はね、選べる美人が心の底から羨ましい。
「美人は羨ましいな。選び放題」。女子大の友人が囁いた。私は多分、綺麗なのだろう。中学以来、毎年誰かに告られてる。何人かとは交際し、束縛されて破局した。「私はこれからマンネリデートだ」。彼女が苦笑し去っていく。高校の同級生と5年交際しているらしい。私はね、死ぬほどあなたが羨ましい。
夫が死んだ。前妻と離婚し、私と入籍した直後、発病した。きっかけは彼の悩みを会社帰りに聞いたことだ。悪妻だった。同情が恋慕に変わる。奪ったことにも全く胸が痛まなかった。前妻が斎場を訪れる。死後も彼を苦しめないで、と叫びかけ、言葉を呑んだ。手を引かれ、彼によく似た幼い娘が泣いている。
元夫が病死した。会社の部下との不倫が発覚、半年前に離婚した。すぐにその子と入籍し、養育費も滞る。死ね、と何度も心で願った。血でも籍でも繋がらない。胸の痛まぬ他人の死。「パパにバイバイ言えないね……」。幼い娘が空を見上げて泣いている。私は深く息を吸い、喪服はどこだったかなと考える。
「終わったら、言いたいことがあるんだよ」。高校の休み時間、切なげに彼女がはにかむ。「血が流れても、私、頑張る」。きた、フラグ! 最後に「好きよ」と告るやつだな。大丈夫、お前は死なない。隣の班だが、俺が守る。絆創膏は用意した。さあ行くぜ。大好きな腐女子のお前が、一番苦手な調理実習。