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連休中、マクドナルドに通い詰める。高校で同級の、彼の家のすぐ近く。「お前もマックでぼっちかよ」。4日目にやっと彼が現れた。胸がきゅっと痛くなる。キャラじゃないから言えないけど、もう半年も片想い。「遠出でもすればいいのに」。……GWは毎日してる。自宅からこの店まで、1時間かかるんだ。
近所のマックで高校の同級生と鉢合わせる。「連休だけどやっぱここでぼっちなんだ」。黙っていれば美少女なのに、相変わらずの減らず口。うるせえな。遠出の相手もいねえんだよ。そういうお前も同じだろ。「私は違う」。え、どこが? 「うちから店まで1時間。4日目でやっと会えたよ、会いたい人に」
「何もない田舎はもう嫌なんだ」。高校の卒業式でそう呟き、彼女は故郷を出て行った。女子大を卒業後、そのまま都会で働いている。上京7年。最近、LINEの彼女が疲れている。意地張らず、GWぐらい戻ってこい。何もないけど自然はある。空気もうまい。何よりお前を大事に思ってる、幼なじみの俺がいる。
上京7年。忙しすぎて体を壊す。寝床で独り故郷を思う。何もない田舎が嫌だった。こんなとこで終われない。いきがって女子大に進学し、就職した。帰りたいけど帰れない。涙ぐんだその時にLINEが届く。「たまには戻れ」。忘れてた。何もなくはなかったね。GWに帰省する――幼なじみの男の子に返事を打つ。
「GWに会いに戻る」。彼がLINEを送ってきた。進学で春から上京し、遠距離恋愛。馴染めぬ都会に疲れているようだ。いいよいいよ、来なくって。私もゆっくりしたいから。「気変わりしたの?」。パパとママのいる実家では、ちゃんと言葉で返せない。ゆっくりさせて。内緒だけど、今夜そっちに到着します。
「いいよいいよ戻ってこなくて」。古里の彼女からLINEが届く。進学で上京後、初のGW。「平気よ平気」。何でも二つ重ねる彼女の癖はそのままだけど、気持ちは変わってしまったのかな……。一人暮らしのマンションでうなだれる。夜、部屋のチャイムが鳴った。誰だこんな時間に? 少し間を置きもう一度。
彼はジャンクフードが大好きだ。それでも私は料理や菓子を作り続ける。昨秋、推薦枠で彼は東京の大学に合格した。私は地元の短大だ。彼に渡した弁当に、今日もレシピを忍ばせる。コンビニもいいけれど、たまに自炊もするんだよ。4年間、遠距離になるけれど、その後も一生、元気で隣にいてほしいから。
故郷の彼女が小包を送ってきた。メモと地元野菜が入ってる。高校時代、手作りの料理や菓子が、実は少し鬱陶しかった。「教えたよね? たまには自炊しなきゃだよ」。進学で上京し1か月。手製よりも旨いと思ってたけど、コンビニ飯は食べ飽きた。GWに帰省したら伝えよう。一生、手料理が食べたいって。
5歳の娘をあやしつつ、夫がカレーを煮込んでる。パートの私に任せきりだったのに、随分上手になったよね。大丈夫、すぐ娘もあなたになつく。仕事が大好きなのに、昇進も断って、娘のために生きていく。私の夫選びは正解だった。ごめん、支えてあげられず。半年前に病死した、私は天から2人を眺める。
慌てて帰宅し、自転車に飛び乗った。愛する彼女を迎えに行く。5年間、忙しさに逃げてきた。今さらだけど悪かった。もう残されたのは俺だけだ。今後はお前を最優先で生きていく。待っていろ。お前には俺だっているんだぞ。半年前、妻を亡くした。午後6時、少しふくれた5歳の娘を保育園で抱き上げる。