掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
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再婚2年、15歳の私を残し、母は病死した。継父は厳しく私を育ててくれた。血の繋がりもないくせに――。叫んだ私に向けられた、哀しい顔が忘れられない。あれから10年。今日は私の結婚式だ。燕尾服の片腕に自分の腕をそっと絡める。ごめん、素直になれなくて。新郎と同じぐらい、大好きだよ、お父さん。

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彼の親友宅でお酒を飲む。あっという間に彼は酔い潰れた。親友が、そっと私にキスをする。「大丈夫、よく寝てるよ」。いっそ、気づいてほしいと私は思う。彼も好きだが、親友にも惹かれてる。唇を重ねながら、目を開く。弱い私は自分で道を決められない。静かな寝息をたてている、彼の背中が恨めしい。

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水着屋さんで散々迷う。夏休み、流れるプールに誘われた。高校の先輩とつきあい始めて4か月。まだキスまでだけど、その先もちょっとだけ期待している。先輩は小さい胸でも平気かな。握り締めたワンピースを元に戻し、勇気を奮ってビキニを選ぶ。ごめんね、先輩。内緒で反応、確かめさせてもらいます。

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恋人だった姉を亡くした先輩が、心を閉ざしてる。去年の夏の花火大会。デート帰りに姉は事故でこの世を去った。励ましても道化ても、先輩に笑顔は戻らない。あれから1年。ごめんね、お姉ちゃん。私、少し卑怯になるよ。先輩が気になって仕方ない。無理に誘った今夜の花火。私は姉の遺品の浴衣を纏う。

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心から悔やんでる。昨夏、恋人に振られ、高校の後輩に慰められた。「私には何でも本音言って下さい」。そう笑う後輩にも彼がいた。うん、俺ら兄妹みたいな関係だしなーーその一言が今になって自分を縛る。「兄」として、「妹」に本音を伝えていいのだろうか。彼と別れた「妹」が、気になって仕方ない。

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ミカスケ(イトノコ)さんのフリーイラスト、かわいいのでまた1枚お借りして投稿します(*´▽`*)
ここしばらく、たくさん放出されているので、下にリンクしておきます(^^♪
https://t.co/VPS2F3httv

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マジかよ、あいつ。高2の夏休み、街で男連れの彼女と出くわした。まだ交際3か月。終業式の日に口喧嘩し、音信不通が続いてる。俺は隣の女子の肩を抱き、無言で彼女とすれ違った。「別れたくないくせに」。手を振りほどき、笑う女子にたしなめられる。「早めに謝らないと手遅れになるよ、お兄ちゃん」

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ミカスケ(イトノコ)さんがフリーイラスト連投です(#^.^#)
以下にまとめておきまーす♪
ミカスケ(イトノコ)さんの固ツイに、使用上の注意点も書いてあります(*´▽`*)

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一つ下の都会っ子を慰める。高校の女子に失恋し、祖父母の田舎に逃げてきたそうだ。仕方ない。彼の手をとり野山を駆け、小川で遊ぶ。笑顔が戻った7日後、もう平気だねと私は言う。「また会えますか?」。いつかはね。12年前、5歳の私は小川で溺れた。幼かった弟の成長に目を細め、私は再び天に帰る。

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「死ぬの?」。川べりで少女が笑ってる。失恋した高1の夏、祖父母の田舎を訪れた。「多分相手は平気だけど、親が悲しむよ」。以来一週間をともにして、僕は元気を取り戻す。帰京の日、彼女は消えた。「来ていたか」と祖父が微笑む。僕は気づく。5歳で溺れた一つ上の姉がいた。明日は彼女の十三回忌。

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