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高校の同級生の彼と私は、ありふれた同じ姓。授業中、些細なことがきっかけで、クラスメイトに「夫婦」とあだ名をつけられた。実は内緒で交際中。もういいや、言っちゃおうよ。目配せすると、彼が頷き立ち上がる。「夫婦じゃねえぞ。いつかそうなるつもりだけれど」。ちょっと待て。その予定は初耳だ。
きっかけは授業中、先生に呼ばれたことだ。よくある同じ姓だから、俺と彼女が同時に「はい」と手を挙げた。クラス中に冷やかされ、「夫婦」とあだ名をつけられる。17歳だぞ、夫婦はねえよ。渋面の彼女から、声を出さずに話しかけられる。……わかったよ、腹をくくるよ。「ツキアッテルノ公表シナイ?」
高校の入学式で彼と出会う。少し話をしただけで、クラスは別々。しばらく会えずにいるうちに、彼には恋人ができていた。半年後、思わぬ事故で彼女は亡くなる。あれから1年。彼はようやく、ためらいがちに私の想いに頷いた。彼女に一目ぼれしたと言ってたよね。それ、妹じゃなくて、双子の姉の私だよ。
多分、彼女も好意を抱いてる。高校の部活の一つ下。何度か打ち明けかけて果たせてない。以前、別の女子の想いを読み誤り、手酷く振られた過去がある。今日、彼女のスマホの画面が見えた。これは相当恥ずかしい。想いは分かった。告白するよ。だから、体育祭で5位だった徒競走の望遠写真は消してくれ。
私の好意を知ってるくせに、先輩は無防備だ。高校帰り、今日もファミレスに誘われた。「ここは奢るよ」。いえ、彼女じゃないし払います! スマホのアプリでパフェ代を送金しかけ、待ち受け画面を見られてしまう。「……俺が送るよ」。俯いて赤面し、私は頷く。「もう少し、写りのいい写真があるから」
「ごめん、私、頑張れなかった」。彼女は泣いて呟いた。自分だって、頑張り切れなかった。高校で知り合って10年目。デートも夜も、初めてはすべて彼女と経験した。結局、お互い周囲に言えなくて、彼女は親の勧めた相手と結婚する。涙をぬぐい彼女を強く抱き締める。来世では、異性として出会いたいね。
5年前、母が病死した。以来、父が一人で育ててくれる。先日、高校の先輩に告白された。仕事に家事に父は毎日忙しい。私だけ幸せになっていいのかな。「しなさい恋愛。パパは私たちに縛られすぎてる」。自分によく似た遺影の母の声がする。意を決して父に向く。あのねパパ。私、好きな人ができたんだ。
いつかお前を手放すために、5年前から全力だ。早起きして朝食と弁当をつくり、仕事が終わると飛んで帰る。今は精一杯支えてやる。だから、自分の力で生きていけるようになるんだぞ。「おやすみなさい。仏壇の水は換えといた」。早く寝ろよ、と俺は言う。17歳の一人娘は、遺影の妻にますます似てきた。
3年前、高校生だった妹にキスされた。不意打ちだけど、彼女の気持ちは知っていた。僕だって、お前のことが大好きだ。でも、この先には未来がない。飲み込んだ想いを消し去りたくて、職場の後輩と交際する。週末は僕らの結婚式。準備を進める無垢な新婦の笑顔がつらい。僕はまだ、妹のことを愛してる。