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七つ上の兄が結婚する。「お前もいい男見つけろよ」と頭を撫でられた。3年前の高校時代が甦る。想いを抑えきれなくて、不意打ちのようにキスをした。あの時も、私をハグし、兄は同じ台詞を囁いた。探して探して、見つけたよ。私の答え。あなたが別れて道を踏み外すまで、お兄ちゃんだけを待っている。
高校の先輩に打ち明けられた。少し時間がほしいです、と答えを濁す。最近、気になっている相手がいる。中学まで全く異性を感じなかった幼なじみ。この思いは恋なのだろうか。先輩は優しくて、私を大事にしてくれそうだ。頷く前、一度だけ幼なじみに確かめよう。あなたにとって、私は女の子なんですか?
初めて彼女と寝たのは半年前。体の相性ってあるんだな、と僕は思う。以来毎日重なった。世界は瞬く間に狭くなる。このままだとお互い駄目になる。話し合って別れを決め、確かめようと最後に交わる。喘ぐ彼女と醒めた僕。今さらながら誤解に気づく。あれほど気持ち良かったの、体ではなく心だったんだ。
深夜まで彼の家で話し合い、別れを決めた。互いに「本当の理由」は言葉を濁した。最後に一度と彼が言い、私は頷く。別れる彼女を平気で抱く。こういうとこだよ、あなたの一番いけない点。吐息を漏らし、いや、最低なのはこっちだな、と私は思う。とっくに熱は冷めたのに、快楽を失うことだけまだ怖い。
身重の妻が8か月ぶりに目を覚ました。慄いて病院を訪ねると、妻は記憶をなくしていた。不倫に気づきながら指摘できずにいた僕に、妻は離婚を切り出した。激高し、2階から彼女を突き落とす。警察は事故として処理をした。僕も不倫を忘れよう。生まれてくる誰かの子どもと3人で、穏やかに暮らすんだ。
恋人の存在を仄めかした。サッカー部の女子マネの、取り繕った笑顔が辛い。高校で出会い2年半。お前は同志か戦友なんだ。交際し、もし恋が終われば、俺は喪失感に堪えられない。お前の好意は知っている。俺だって大好きだ。なあ、もう少しだけ猶予をくれないか。架空の「恋人」には振られておくから。
「マネジャー、いつものよろしく」。サッカー部の彼が言う。明日は隣の高校との練習試合。張り切ってるね、と笑うと「彼女が来るかもしれなくて」。相変わらず私は間抜けだ。あなたも好きでいてくれるかなと思ってたよ。夜、凍らせる檸檬を輪切りにしながら涙ぐむ。しぶきが目に飛んだからに違いない。
一年前、唐突に告白された。彼女と僕、彼女の親友は、同じ大学の仲間だった。いつになく彼女は強引で、押し切られる。交際間もなく、難病を患っていると知らされた。昨夜、病床で彼女を看取る。「あなたは優しく残酷だよね」と彼女は笑った。「気づいていたよ、あなたがずっと親友のことを好きだって」
元カノが忘れられないんだね。そう呟くと、彼は黙った。同じ大学の私たちは、仲良しの3人組。彼女が先に打ち明けて、2人は先々月まで交際してた。私が告白したのは昨夜のこと。彼女の名前を見つめて私は思う。あなたは狡い。競うことすらもうできない。線香の煙が目に染みる。今日は彼女の四十九日。
彼女とは大学時代に二度別れた。卒業後、5年ぶりに再会し、短い交際を経て結婚する。三度目の正直にしよう。そう言い合ったのに、歯車は徐々に軋んでいく。ある日、僕のどこが好きかと尋ねると「外見かな」と彼女は言った。その夜、2人で離婚を決める。僕が彼女に惹かれた理由。哀しいほどに同じだ。