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必死で笑い話を考え、LINEの即レスも欠かさない。高3の時、そんな日常にうんざりしてた。だから孤高の彼女に強く惹かれた。僕が級長で彼女は副級長。自分を偽り飾りすぎ、僕は告白の言葉を紡げない。あれから5年。目の前に再会した彼女がいる。今度こそ飾らず偽りのない台詞を言おう。君が好きだと。
「女子といるのを目撃され、彼女持ちだと思われてる」。男友達に相談された。恋人未満の幼なじみに片思いしているそうだ。きちんと想いを伝えなよ。黙っていたら手遅れになるかもしれないよ。「勇気を出してそうするよ」。頷く彼に笑顔を向けて、心で悔いた。臆病で、手遅れになったのは、私のほうだ。
ふうん、彼女ができたんだ。高校からの帰り道、美少女と一緒の幼なじみを見た。本気で好きになる手前。これでよかったんだと自分に言い聞かせる。そこで2人に気づかれた。お幸せにと私が言うと、彼女はクスっと微笑み、彼に囁く。「なるほど。君を悩ます片思いの子は、こんなふうに早とちりなんだね」
「年初の目標、もう挫折?」。パーカーに着替え、布団から兄を引きずり出す。毎朝2キロのラン。彼女に締まった体を見せたいそうだ。見せるって、つまりそういうことだよね? 大学とデートで、在宅時間がますます減った。涙をこらえて私が並走する理由、気づかないかな。一緒にいたいよ、お兄ちゃん。
「10年後の私へ。彼と一緒に幸せですか?」。実家に帰省し、15歳の時に自分に宛てた手紙を見つける。彼はあの頃、いじめられてた私の救いだった。それから3年交際し、浮気をされて、破局した。「懐かしいね」。夫に手紙をのぞかれる。愛情表現が下手だった、かつてのいじめっ子が隣で頭をかいている。
冬休みの帰省を自粛した。「仕方ないよね」。3週間前、最後に届いた彼女のLINEをぼんやり眺める。しばらく前からぎくしゃくし、共通の友人経由で彼女の新たな恋を知らされた。「仕方ない」は優しい嘘だ。「君の自粛も同じじゃない?」。クリスマスからつき合い始めた都会生まれの恋人が、隣で微笑む。
終わった後に寝落ちして、彼女に起こされる。「寝言で別の子の名を呟いてた」。まだ交際1か月。肩を抱き、結婚間近の姉貴だよと釈明する。「ごめん。君はそんな人じゃなかったね」。涙を拭う彼女を見つめ、胸が痛む。2か月前、5年続いたいびつな関係を終わらせた。なのにまだ、僕は姉を愛している。
大学受験までひと月なのに自信がない。僕がLINEで弱音を吐くと、彼女に笑顔の絵文字を返された。推薦で一足先に合格済み。「落ちたら私が先輩だね」。1年前、同級の彼女と後輩に告られて、僕は半年煮え切らなかった。このタイミングで蒸し返すなよ。僕はぎゅっとペンを握る。絶対現役合格してやるぞ。