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「大晦日の深夜だぞ?」
「あんたの家行くと言ったら、親もOK」
「迎えたウチの両親もだけどさ」
「交際のこと親に言った?」
「17歳だぞ。言わねえよ」
「しばらく黙っとこう」
「幼なじみと思われてたほうが好都合だな」
「キスしてるとか疑われないしね」
「してねーし」
「今夜試してみようか?」
若い女性に抱き締められる。宿で火災に巻き込まれたのは覚えてる。病院で目を覚ますと、僕は記憶をなくしていた。女性のぬくもりが、微かに何かを思い出させる。関係を終わらせようと一泊し、僕らは最後に重なり合った。不倫か浮気の相手だろうか。涙声で彼女は囁く。「目覚めてよかった。お兄ちゃん」
「今年もあと3日だな」
「年内にやり残したことでもあるの?」
「幼なじみと温泉旅行」
「ないな。彼女つくりなよ」
「幼なじみとキス」
「それもない。私以外をあたってくれ」
「幼なじみと熱いハグ」
「ないねえ」
「せめて『実は好きだった』と告られる」
「……それはちょっとあるかもしれない」
「寒いのに俺待ってたの?」
「会えなきゃ諦めようと思ってた」
「告ってくれたけど、俺でいいの?」
「君がいい」
「……実は俺もクラスで気になってた」
「私じゃダメかな?」
「んなことない」
「じゃ交渉成立だね」
「クリスマスなのにプレゼント用意してないぞ」
「君の想いが私への贈り物だよ」
リア充どもめ。クリスマス、悪態つきながら一人下校する。通学路にある公園も電飾でキラキラだ。ベンチに気になるクラスの女子が座ってた。「好きな人を待ってるんだ」。声をかけると笑顔を返される。なんだお前もかよ。お幸せに、と立ち去ろうとすると、制服の袖を掴まれた。「君を待ってたんだけど」
「マジで幼なじみのいつもの部屋か。はい、ケンタ」
「サンキュ。イブといっても平日だしな」
「おじさんとおばさんは?」
「外食だってさ」
「ってことは、あんたと2人きりか」
「それが何か?」
「私、押し倒されたりするのかな?」
「まだ恋人3日目。しねーよ」
「そこは欲情するとこじゃない?」
「近場でメシかな」。クリスマスをどう過ごすか尋ねると、彼が答えた。交際5年目。「今さら特別な日じゃないもんな」。そう続ける彼に笑顔を作る。あの頃はクリスマスだけじゃなく毎日が特別だった。いつからだろう、私と彼から「特別な日」すらも消えたのは。潮時なのかな……。私は黙ってそう思う。
「キスってどのタイミングでするんだ?」
「幼なじみとはいえ今は彼女だ。私に聞くな」
「元カノとはキスする前に別れたからなあ」
「わはは。あれは無様な振られ方だったね」
「お前はどうなの?」
「ファーストキスは経験済み」
「マジ!? いつどこで誰とだよ?」
「5歳の時、保育園で、あんたと」
「17年一緒だからなー」
「お互い知り尽くしてるもんね」
「恋人になったんだから、手つなぐか」
「うん……あんた、結構指太いんだね」
「肩組むぞ……お前、華奢だな」
「これでも女子だからな」
「胸触っていい?」
「まだ早い! でもぺたんこではないぞ」
「意外と知らないことあるな」
「だね」