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25歳の誕生日。彼の浮気が発覚した。結婚したいと思ってた。詫びる彼に別れを告げて連絡を絶つ。何度か恋をし、すぐ壊れ、誰が好きだか改めて気づく。彼の年賀状は昔の住所。やり直したい。そう願ったところで病に倒れた。死後の寒中見舞いに添えるため、写真を撮る。10年前に贈られた髪飾りをつけて。
「死んでも許さない」。25歳の誕生日。長髪の彼女に贈り物をしたところで浮気がばれ、別れを告げられた。以来、実家に年賀状を出し続ける。10年目、両親名で寒中見舞いが返ってきた。彼女は昨秋、病死したという。葉書の近影に涙が溢れる。発言守れ。何で僕を許すんだ。彼女の髪飾りには覚えがあった。
「失恋狙って告るなんて、あざといです」
「悪いな。胸押し当てて抱き締めて」
「先輩らしくありません」
「君が私を知らないだけだよ」
「知ってますよ、優しいこと」
「繰り返すがこれは私のためだ」
「やっぱりあざといです」
「嫌いになった?」
「こんな健気に打ち明けられたら、拒めません……」
離婚間もない殺風景な自宅で、昔振った元カノと久しぶりに鍋を囲む。肉も野菜も土鍋に放り込むだけ。缶ビールを旨そうに飲む彼女を見ながら、変わらないなとホッとする。なあやり直そうか。ほろ酔いに任せて呟くと、彼女は困ったように微笑んだ。「復讐に来たと言ったでしょ。私、来週、結婚するんだ」
「よく5歳の写真持ってたな」
「紙焼きを見つけてスマホで接写した」
「俺との水遊び、大切な思い出なのな」
「成長しないねえ、その早とちり」
「じゃあなんだよ?」
「まあここ見てよ」
「幼女の水着?」
「で、次はここ」
「お前のセーターの胸あたり?」
「12年間の私の成長、教えてあげたくて」
「何そのスマホの待ち受け?」
「胡蝶しのぶ」
「17歳でアニヲタですか」
「お前も見せろ」
「いいけど卒倒するよ?」
「百合かBL?」
「半裸の私が男と濡れている」
「大晦日の俺とのキスが初めてじゃ……」
「見る? ほらほら目背けるな」
「何だこれ?」
「うちの庭で水遊びする5歳のあんたと私」
初夢見たよ>
🐸<どんな? 既読
君と仲良し>
🐸<夢でも俺ら❤️だ 既読
でも君の浮気発覚>
🐸<えっ夢で? 既読
🐸<俺が浮気? 既読
🐸<ひょっとして見られた? 既読
🐸<出来心でキスだけだよ 既読
正夢なんだ……>
🐸<ごめん 既読
🐸<おーい!
🐸<おーい?
「昔、別の男子と映画見た、で動揺したの?」
「……」
「ほー。嫉妬ってやつですか?」
「何だその笑み」
「年末まで幼なじみだったのに?」
「嫉妬なんて読めも書けもしねえし」
「今年の目標、国語だね」
「余計なお世話」
「嫉妬じゃないなら何よ?」
「ただの焼きもち」
「やっぱ国語、頑張ろう」
新年早々風邪をひく。お粥をつくってくれた後、彼は初詣に出て行った。交際5年、同棲2年。天然だけど優しい彼が大好きだ。やがて戻ってきた彼に、お守りを渡された。安産祈願。いや今日は病気平癒でしょう。感謝しつつも苦笑いすると、彼が言う。「間違ってないよ。今年は必要になるかもしれないし」
交際して初のお正月。近くの神社に参拝した。来年も2人で来られますように。それだけ祈り隣を見ると、「大学合格、家内安全、世界平和……」と彼女がぶつぶつ呟いている。あれ、恋のお願いしないんだ。そう尋ねると、彼女は真顔でこう言った。「神頼みしなくても、私は自分の気持ちに自信があるもん」