掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ぼくと初音の夏休み』『ごめん。私、頑張れなかった。』発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。140字小説集『ごめん。私、頑張れなかった。』(リベラル社)、長編『ぼくと初音の夏休み』(扶桑社)、縦読み漫画(原案)『とある溺愛のカタチ~掌編小説アンソロジー~』(ブックリスタスタジオWebほか各種サイトで配信)。リンクは固定ツイートご参照。創作系のお仕事はDM下さい。
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彼のため夕食に腕を振るう。「天つゆは?」。主菜は得意の天ぷらだ。無意識にソースを出していた。私を振った元彼は、いつもソースで食べていた。慌てて取り繕うと、彼はそのままソースをかけて「これはこれで美味しいね」と微笑んだ。ごめん、少し引きずっていた。この人と幸せになろう。そう誓った。

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失恋から1年。引きずる僕はいいとこなしだ。成績は伸び悩み、人付き合いもうまくいかない。自己嫌悪でため息つくと、幼なじみに呆れられた。「また恋人ほしい病?」。この際、お前でいいや。冗談めかして口にすると、彼女は真顔でこう言った。「君も嫌いな君のこと、誰かが好きになってくれるかな?」

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「独り身には辛い時期だね」
「お前も同じだろ」
「お互いXマス直前に失恋か」
「ははは。仲いいな」
「ね、デートの真似事してみない?」
「映画見てメシ喰って……つき合うか?」
「それ、大学出るまで禁じ手の約束だよね」
「だな。破局したら本当にぼっちだ」
「あと3カ月、私も我慢するからさ」

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え、混浴? 入り口はわかれてたけれど、湯船に浸かり驚いた。彼女との初の温泉旅行。山奥の秘湯に投宿した。湯煙の先にうっすら白い背が見える。幸い利用者は2人だけ。ごめん、見ないように気をつける。後ろを向いて僕が言うと、彼女の声が返ってきた。「私はいいよ。夜にはしっかり見るんでしょ?」

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鬱陶しいと思われてるのは分かってる。彼とは昔、弾みで一度キスしただけだ。ちょっと抜けてるけれど、優しい彼は、きっといいパパになる。その時、私は隣にいられない。半年前、重い病気が見つかった。彼との未来は存在しない。男を磨き、必ず幸せ摑むんだぞ。幼なじみへの小言は私の最後のお節介だ。

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「宿題持った?」。朝、迎えにきた幼なじみが僕を睨む。おかんかよ、と思いながら、慌てて部屋まで取りに戻る。通学路、「小テストの予習した?」とまた小言。……ゲームやっててしてないけれど、そこまで細かくなくて良くないか? 「あのね、将来パパがそんなだと、子どもに示しがつかないでしょ?」

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風呂上がり、妹が半裸で水を飲んでいる。目を背け、服着ろよと注意した。「私に女を感じるんだ」。悪戯っぽく妹が笑う。遅れて上京してきた彼女と、同居してもう1年。僕は22歳、妹は19歳。兄として振る舞い切れるか自信がない。両親は再婚同士。お前は知らないだろうけど、僕らは血が繫がっていない。

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「不倫は駄目です」。休日に自宅でTVを見ていると、アイドルがコメントしていた。そりゃ良くないよ。でも、好きをねじ伏せられないこともある。その時、彼がやってきた。「ごめん。妻に気づかれそうで少し遅れた」。彼は私をぎゅっと抱く。キスの後、TVに気づき、彼は言った。「自分の番組見てたんだ」

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言ってしまった。失恋して黄昏れている同級生に、話の流れで告ってしまった。私の右手をつかんだまま、彼は言葉をなくしてる。あ、好きになってくれてもいいと言っただけで……と釈明しかけたその瞬間、ぎゅっと彼に抱き締められた。「もう当分、失恋するの嫌なんだけど」。囁く彼に私は黙って頷いた。

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なんと、今度は3連!!!!!!
わかりやすいようにスクショしておきました😳
すごいなあ😍🌟❤️⚡️😳

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