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掌編小説(140字)@縦読み漫画(原案)配信中さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。絵はイトノコさんや春さんの作品。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。サブ(@syouhensub)、Pixiv(pixiv.net/users/95883938
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「高2も同級生か」。腐れ縁の彼が笑う。新年度、昇降口にクラス分けが張り出されてた。名前に喜んでるのを見られてしまう。「意地張らず恋心を認めちゃえよ」。君も好きな相手を言わないじゃん。私だって内緒だよ。大好きだ、と胸で呟く。いつか素直に告れるかな。張り紙の一番上、今年も同じ担任に。

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「やった!」と意地っ張りの彼女が叫ぶ。高2の初めのクラス替え。昇降口の張り紙を、僕もそっと覗き込む。名前があった。今年度も同じクラスだ。「運命? いや、ただの腐れ縁でしょ」。頬が赤いぞ。認めちゃえよ、恋してるって。「……君はしてるの?」。まだ言わない。「ならば私も教えてあげない」

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入社式で息を飲む。彼、我が社の大卒新人だったんだ。昨夜バーで知り合い、一目ぼれして抱かれてしまった。高卒で私は社会人2年目だ。軽率さが照れ臭く「責任ある行動しよう」と言ってしまった。式の後、年上の後輩が私に囁く。「同じ会社だったんですね。先輩、社会人として僕に責任取らせて下さい」

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「明日から大卒社会人?」。下着姿の彼女が驚く。バーで知り合い流された。「まだ私は20歳だけど、君はもっと責任持たなきゃね」と笑ってホテルを出て行った。翌日の入社式。「二日酔い? 社会人として責任持とう」。指導役が僕を叱って青ざめる。同じ会社なんですね。彼女は高卒。二つ下で2期先輩。

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医師に頭を下げられる。怠くて受診し、風邪だと言われた。「守秘義務違反は承知の上だ。幼なじみを支えてほしい」。彼が余命1年って、四月馬鹿の嘘ですよね? 「今日この後、告知する」。家族ぐるみで兄妹みたいに過ごしてきた。大好きだ。私に何ができるだろう。彼の父の院長が、俯き涙を流してる。

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「余命1年。君と恋したい」。瞳を潤ませ幼なじみが呟いた。17年も兄妹みたいに過ごしてきた。照れ臭い。今さらそんなのできるかな。いつもの笑顔に戻った彼女が「嘘よ。今日何の日だかわからない?」。あ、そうか。こんな場所で悪趣味だ。抗議を無視し、華奢な背中が去っていく。4月1日、病院から。

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高校の教え子になつかれる。何度か告られそのたびに、教師と生徒、と釘を刺した。「明日からは新年度。私は卒業したし、もうその言い訳できませんね」。悪戯っぽく彼女が笑った。どうやって僕は気持ちを伝えるべきだろう。結婚したいと思ってる。2年も極秘で交際している、君のクラスの女子委員長と。

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もう言い訳できないね、と私は笑った。「そういうことじゃ……」と彼が俯く。何度も告って拒まれた。指一本触れてこない。私、割とモテるんだよ。高校の3年で7人に打ち明けられた。でも想いは全く変わらない。明日からは新年度。関係性が変化する。変わらず好きです。もう呼ばないからね、先生って。

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同級生とバーを出る。誘った彼は距離を縮めてこなかった。誰とでも寝るビッチーー。大学でそう噂されてるのは知っている。断った男子たちが震源だ。「ごめん、真に受けて」。真摯な彼に切なくなる。緊張で乾いた唇を舌で湿らせ、勇気を奮い囁いた。試してみますか? 好きです。未経験でもよかったら。

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「告られるのかと思ってた」と彼女が笑う。大学の同級生で目を引く美人。飲みに誘って応じてもらえ、切り出せず、店を出た。「噂を聞いた?」。図星だった。誰とでも寝るビッチーー。切なげな彼女を見つめ、胸が痛む。ごめん、真に受けて。「いいよ」。呟く彼女が下唇を小さく舐めた。「試してみる?」

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