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また彼だ。テレビ局で収録終わりに出待ちしてた。グループ内で地味な私をずっと応援してくれる。多分同じ10代後半。ほだされて、連絡先のメモを渡す。普通の恋がしてみたい。アイドルを辞めた未来を妄想する。成長した2人の子どもに、パパが山ほど買い込んだ、ママのグッズを発見されたら恥ずかしい。
高2の息子がアイドルグループに夢中になってる。CDを買い込んで握手会に行くらしい。ほどほどにな。思いはたやすく届かない。「だからたくさん買うんだよ」。散財するなと言いかけて、10代で知り合った妻の苦笑に気がついた。「ねえあなた。5箱の昔のアイドルグッズ、恥ずかしいから処分していい?」
夫が不倫した。若い彼女に「別れてほしい」と談判される。修羅場になったが、気弱な夫は選べない。いいよ、あげる、と私は言った。あれから2年。「傲慢な後妻にくたびれた」と連絡してきた彼と寝る。関係はやがて彼女にバレるだろう。その時私は彼を捨てる。愛はない。あるのは2人に対する復讐心だ。
夫の不倫に気がついた。結婚2年。子どもはいない。魂が削られるような思いがする。相手の女は知っている。昔たくさん話をした。時々、今の夫も同席した。どこで私は間違えたのかな……。「最初じゃない?」。彼女の声が聞こえた気がする。修羅場の果てに彼を奪った。前妻に、今度は私が夫を奪われる。
「諦めない!」。高校帰りの廃屋で、向き合った親友がこっくりさんを破り捨てる。彼女は片想い相手の「好きな人」を訊き、こっくりさんは私と答えた。実は密かに彼と交際してる。だから、よくないことが起きそうだって止めたんだよ。「本当だね……」。彼女が涙を流してる。両手で私の首を絞めながら。
こっくりさん、片想いの彼が好きなのは、私ですよね? 高校帰りの廃屋で、親友と向かい合う。「やめようよ。よくないことが起きそうだ」と彼女は怯えた。臆病だなあ、大丈夫。一文字ずつゆっくりと、十円玉は動いていく。「……ほら、起きた」。俯く彼女は知ってたんだね。自分が彼に想われてること。
17歳の同級生は自分の美貌に気づかない。多くの男子が夢中だけれど、互いに牽制するか高嶺の花だと諦めてる。「貴女はいいな。彼が途切れたことないでしょ」。無自覚な彼女が呟く。待ち続けても好きな相手に告られないのが悩みだそうだ。私はね、好きになったら告っているだけ。待てる貴女が羨ましい。
同級生はよくモテる。同じ高2の同性なのに私はなかなか彼ができない。「可愛いのにね」と彼女が笑う。どうだろう……。どんなに待っても好きな人からまるで告ってもらえないんだ。秘訣ある? 「ないない」と彼女は苦笑した。「ああ、でも」。うん何? 「貴女と違い、好きになったら私から告ってる」
編集者10年目。時流にあわせ小説を編み続けた。小説サイトの常連が「これで最後。自由に書く」と悲恋モノを投稿してる。ヒロインの綽名が私のハンドル名と同じで、初カレを思い出す。瑞々しいけど時流と違い、多分企画は通らない。でもこの無冠の書き手を育てたい。会いたいと、メッセージを送信する。
女子高の同級生と抱き合った。「気持ちいい。男子と違って終わりがない」。交際は誰にも内緒だ。母の言葉が頭に浮かぶ。男の子を授からず「あなたの孫が楽しみだ」と話してた。彼女を愛しているけれど、親の期待も裏切れない。胸で泣いて私は思う。行為に終わりはないけれど、関係性には終わりがある。