世界遺産にも登録されている英国キュー・ガーデン、ヴィクトリア朝建築の温室がすぐに思い浮かぶけれど、全部で6つの温室がある。その一つプリンセス・オブ・ウェールズと呼ばれる温室は、亡くなったダイアナ元妃に所縁の温室。
ダリア・ムーンファイヤーとテマリシモツケ、どちらもちょっとした園芸店で苗を見付けることが出来るようなありふれた花。ありふれたもの同士が何処かの庭に寄植えされ、そこを特別な場所に変える。ガーデニングの密かな愉しみ。
11月11日は英国でポピー・デイと呼ばれる第一次世界大戦の犠牲者を追悼する日。写真のポピーは、パディ・ハートレイによる保存処理された羊の心臓組織を素材とした作品。キュー・ガーデンでも現在展示中らしい。何処と無く静かな狂気を孕む作品。
「風竹図」、若冲のこの絵を見て風を感じない者がいるだろうか？風にしなる竹の強さを墨と絵筆だけで表現したことに、派手な擬音やCGに頼る漫画家・映像作家は学ぶことがあるように思う。想像力を失くした人に草木は語り掛けず、花は微笑まない。
「花丸図」伊藤若冲の障壁画、金刀比羅宮 奥書院 上段の間にある。空間を花卉図で埋め尽くし、見るものに迫る圧倒的な空間を作り出す。描くというよりも博物学者の執念で集められたその花々は金色に輝く宇宙の根源のようにも見えてくる。
菜蟲譜、譜とは物事を系列立て順番に記したもの。若冲の菜蟲譜では彼が育った青物問屋で扱うような野菜や果実から、やがて虫たちが暮らす野に至る。鳥獣戯画と列べたいようなユーモラスな絵筆の運びは、つまらない解説より草木や虫たちの野に誘う。
カリフォルニア州のある地域で謎の痒みに住民が悩まされていたが、その原因がこの度解ったとL.A.タイムスの記事が報じた。オークの葉に着生した目に見えないほどのダニ。自分達に都合悪けりゃ害虫、敵というけれど、それほど人は絶対じゃない。
伊藤若冲 糸瓜群虫図 http://t.co/wdkJfUdQNf 群がる11の虫たちの姿態以上に生を感じさせる糸瓜。葉に空いた穴から命の宇宙が覗く。若冲 30代の作品。京都 細見美術館所蔵。命あるものに捧げられた若冲の視線。
ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ 、ベルギー出身の画家にして植物学者。ナポレオン皇后ジョセフィーヌの薔薇園の出入りを許された男。彼が残したLes Roses バラ図譜 http://t.co/XDKsEqhcN0 は薔薇への讃美。
北半球のおよそ20％を占める永久凍土、その凍土が温暖化で溶け、過去にはスガワラビランジという花の種子が見つかったり、最近では古代の大型ウイルスが見つかった。古代から蘇った花は、自らの手で生きる環境を狭める人間を愚かだと笑うだろうか。