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「後輩が、なぜかお前と仲良くしろってさ」。高校の同級生が頭を掻く。2か月前、あの子は私に宣戦した。「先輩を好きですよね? けど私も諦めません」。お互い告白はしていない。そっか、彼女は降りたんだ。私がげっそり痩せたから? 仲良くなんてできないよ。後輩に憐れまれてまで彼氏はいらない。
「お互い『一生一番大事』と言い合っただろ?」。つき合い始めた高校時代ね。当時はそう感じたのよ。でも人の気持ちは移ろうの。今は僅差で二番目。そっちだって同じでしょ? 「……俺は同列一位」。嘘。いざっていう時、あなたは絶対この子を選ぶ。黙った夫は産まれたばかりの小さな娘に目を細める。
「またあの馬鹿に茶化された」。隣の彼女が膨れてる。さっき廊下で幼なじみとすれ違った。高校の同学年だし、告白後、何度も彼の話を聞かされた。「自分に彼女ができないからって僻まないでもいいのにね」。寄り添う彼女に切なくなる。気づかないんだね。もう無理だ。馬鹿なの、彼一人じゃないと思う。
幼なじみが彼に振られた。俺も知ってる高校の同学年だ。見たことないほど乙女の顔で、すれ違うたび茶化してやった。「でもさ、急に『やっぱ無理』と言われちゃって」。そのうちもっと、お前を好きなヤツに気がつくさ。「……そうかなあ。あーあ、私、見る目ないんだね」。だな。まったく見る目がない。
大学の後輩が、彼に想いを打ち明けた。交際中の1年前、私は病気で死んでいる。来世も一緒と誓いあい、まだ三途の川を渡れない。後輩が彼を引き寄せキスをする。――嘘つき。彼女に潜り、彼の首に手をかけた。「……行くよ、そっちに」。無抵抗の彼が呟き、我に返って手を離す。愛してる。来ちゃ駄目だ。
大学の後輩に首の辺りで抱きつかれる。「……私、1年待ちました」。同じゼミの同級生と交際していた。難病で逝く寸前、来世も一緒と約束した。にもかかわらず後輩に惹かれてしまう。引き寄せられて口づけた。後輩が、別人みたいに虚ろな瞳で首の手に力を籠める。遠のく意識で声を聞く。「……嘘つき」
「卒業以来5年ぶりか」。同級生に偶然会った。高2で私はアイドルになる。でも旬は短くて、3年で引退した。私は芸能界にしがみつく。ずっと彼を好きだった。でも変わった今は、想いを告げる自信がない。「現場の外では、今でも大事な友だちだって」。アダルト女優の私の体を、彼が優しく抱きしめる。
「あのさ」。彼女が笑って僕の隣に腰かけた。周囲がざわめく。気のおけない友だちだけど、こういうのはもうやめようぜ。「何でよ?」。だってお前、アイドルじゃん。「違うって」。デビュー作のCDだって売れている。「舞台ではアイドルだけどさ」。じゃあ教室では何なのさ? 「……恋もする女子高生」
また明日。女子高帰りに私は囁く。「また明日」と彼女は答えた。半年前、男子高の先輩に告られた。躊躇いつつも頷いて、初めて抱かれ私は気づく。2人に思いを伝えよう。何度も考え、臆病で、先送りにした。限界だ。首にロープをかけながら、順に詫びる。先輩ごめん。ごめん同性の親友なのに恋をして。
「じゃ、また明日」。一昨日の女子高帰り、親友は囁いた。そう、私たちには「また」がある。想いは今度告げればいい。臆病者の自分自身に、これまで何度も言い聞かせた。甘い香りに包まれて、彼女は静かに横たわる。大好きだ、と私は初めて口にした。答えはない。縊死した彼女が棺の中で微笑んでいる。