掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのプロフィール画像

掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』24年7月1日発売(予約受付中)。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。イラストはイトノコさん、まかろんKさん、NCG・春さんの作品です。
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「私で練習させてあげます」。高校の後輩が小悪魔のように笑ってる。知ってるくせに、誰に片思いしてるのか。なのに気づかぬふりで「告って下さい、練習台になりますから」。ドSめ。……好きだ。「伝わらない」。お前が好き。「少しマシ」。大好きだ! 「……私もです」。そこでデレかよ、大悪魔め。

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夏休みの生徒会室に2人きり。先輩が「こっくりさん、やってみるか?」と言い出した。YESとNOと五十音を紙に書き、向き合って10円玉に指をのせる。汗を拭った先輩が、私の名を挙げ「好きな人は身近にいますか?」と呟いた。知ってるくせに、臆病者め。私は指先に力を籠める。動きませんよ、告るまで。

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働く妻が好きだけど、結婚7年、子どももほしいと感じてる。日用品を買いに出かけたドラッグストア。妻と気持ちが重なるまで、やっぱり待とう。そう思い、籠に小箱を忍ばせる。会計で、気づいた妻が赤面した。だってまだ早いんだろ? 俯く彼女が囁いた。「すいません、店員さん。それ会計いりません」

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母に教わり浴衣を纏う。高校の同級生と交際し、3か月。浴衣デートは初めてだ。帰り道、キスした彼が、胸元に手を伸ばす。小さく拒むと「ごめん。まだ早いよな」と謝られた。ううん、あげてもいいなと思ってる。だけど、着付けができないんだ。私は次の予定を提案する。今度は2人でプールに行かない?

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再婚2年、15歳の私を残し、母は病死した。継父は厳しく私を育ててくれた。血の繋がりもないくせに――。叫んだ私に向けられた、哀しい顔が忘れられない。あれから10年。今日は私の結婚式だ。燕尾服の片腕に自分の腕をそっと絡める。ごめん、素直になれなくて。新郎と同じぐらい、大好きだよ、お父さん。

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彼の親友宅でお酒を飲む。あっという間に彼は酔い潰れた。親友が、そっと私にキスをする。「大丈夫、よく寝てるよ」。いっそ、気づいてほしいと私は思う。彼も好きだが、親友にも惹かれてる。唇を重ねながら、目を開く。弱い私は自分で道を決められない。静かな寝息をたてている、彼の背中が恨めしい。

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水着屋さんで散々迷う。夏休み、流れるプールに誘われた。高校の先輩とつきあい始めて4か月。まだキスまでだけど、その先もちょっとだけ期待している。先輩は小さい胸でも平気かな。握り締めたワンピースを元に戻し、勇気を奮ってビキニを選ぶ。ごめんね、先輩。内緒で反応、確かめさせてもらいます。

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恋人だった姉を亡くした先輩が、心を閉ざしてる。去年の夏の花火大会。デート帰りに姉は事故でこの世を去った。励ましても道化ても、先輩に笑顔は戻らない。あれから1年。ごめんね、お姉ちゃん。私、少し卑怯になるよ。先輩が気になって仕方ない。無理に誘った今夜の花火。私は姉の遺品の浴衣を纏う。

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心から悔やんでる。昨夏、恋人に振られ、高校の後輩に慰められた。「私には何でも本音言って下さい」。そう笑う後輩にも彼がいた。うん、俺ら兄妹みたいな関係だしなーーその一言が今になって自分を縛る。「兄」として、「妹」に本音を伝えていいのだろうか。彼と別れた「妹」が、気になって仕方ない。

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ミカスケ(イトノコ)さんのフリーイラスト、かわいいのでまた1枚お借りして投稿します(*´▽`*)
ここしばらく、たくさん放出されているので、下にリンクしておきます(^^♪
https://t.co/VPS2F3httv

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