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掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』24年7月1日発売(予約受付中)。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。イラストはイトノコさん、まかろんKさん、NCG・春さんの作品です。
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彼女とはTwitterで知り合った。僕と同じ17歳、夢も同じイラストレーター。お互い励ましあって投稿する。やがて彼女の絵はバズり、フォロワーも万を超えた。対する僕は三桁だ。「私は好きよ、あなたの絵」。文字を素直に読めなくなる。最後に1枚、嫉妬と恋慕を託した絵を投稿し、彼女をミュートする。

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缶ビールに宅配ピザ。洋画を借りて家でのんびり休みを過ごす。大学から8年続いた彼女と別れた。お互い仕事が忙しく、すれ違いが続いてた。映画は期待外れだった。つまらねえなとの呟きに、そうかなと反論する声のない解放感。これが望んだものなのだろうか。3缶目のタブを引き、苦いビールを流し込む。

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2024-06-28

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2024-06-28

らしくないのは重々承知だ。高3の体育祭。応援団長に手を挙げた。片思いの彼はリレーのメンバー。不器用な私には、ほかに全力で応援する術が見つけられない。もう一つ、理由がある。我が校の団長は学ランが伝統だ。貸してほしいと彼に頼もう。返却時が最後のチャンス。秘めた言葉のバトンを渡すんだ。

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求婚に頷いた1週間後、重い病気が見つかった。「紫陽花の花言葉みたいに移り気なのよ」。軽薄を装って、私は彼に別れを告げる。本当は6月の花嫁になりたかった。でも多分、私は1年も生きられない。薄れかけた意識の中で、彼の笑顔を思い出す。知らないよね、紫陽花のもう一つの花言葉。「強い愛」。

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放課後の昇降口。傘を忘れた先輩が、梅雨の空を見上げている。高校で一目ぼれしてもう1年。距離は縮まないけど、先輩の好きな人には気がつきました。優しい笑顔で拒まれるのを覚悟して、それでも先に傘を差しだす。雨の向こうに折り畳み傘を握りしめたあの人が見える。羨ましいな、同学年の幼なじみ。

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彼の態度が煮え切らない。中学からもう3年、友だちの半歩だけ先の関係だ。そろそろ高校最後の夏が来る。このままじゃ変わらない。覚悟を決め、私は彼を誘い出す。洋服店で試着したノースリーブ。「露出多めだろ。誘惑してると勘違いされるぞ」。勇気を奮って私は答える。うん、そのつもりなんだけど。

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彼女の片思いを知っている。彼が彼女に気のないことも。高校で同級生になって1年半。親友と思ってくれてる彼女から、何度も話を聞かされた。頑張って。ずるい私は繰り返す。その日、彼女は想いを伝え、彼に拒まれ泣いていた。私は彼女を抱き締める。ごめんね。これから心が弱ったあなたに告白します。

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告白を断られた。高校で出会って以来、彼は私の全部に思えた。放課後の教室で、机に突っ伏し涙を流す。ふいに後ろから抱きしめられた。振り向くと、同性の親友だ。彼に打ち明けなければよかったよ。もう私には誰もいないや。「大丈夫。私がいるよ」と彼女が囁く。「卑怯だけど告白するね。私がいるよ」

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