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やっと一つになれたよね。恋人の私と君はやっぱり似てた。君の手術は成功だ。でも当分はほかの子を好きにならないで。教えてもらえないはずだけど、君の胸には私がいるよ。ドキドキは少し心配だ。高2の夏、お見舞いに行く途中、私ははねられ脳死になった。よかったよ、内緒で心臓ドナーに登録してて。
彼の奥さんに不倫がバレた。職場の先輩。「別れさせる」と激高した奥さんから電話があった。彼のアパートに駆けつける。1階の室内からは争う声、女の悲鳴、土を掘る音……。ノブを回さず引き返し、翌日「妻が失踪した」と聞かされる。その夜、私は抱かれた。布団の下から微かに死臭が漂うその部屋で。
「まだ奥さんが気にかかる?」。アパートの1階の、僕の部屋で彼女が呟く。今は職場の後輩だったお前一人を愛してる。「……気づいてたのかな、私たちの関係に」。ああ、半年前に気づかれた。「奥さんどこに失踪したんだろう」。不安げな彼女を強く抱く。この布団の下なんだ。あの日、妻を埋めた場所。
夏休み、同じ高3の幼なじみが上京する。「一泊で大学下見する」。見守り役を買って出て、俺も一緒について行く。都会の街の人込みで、彼女は何度も振り返られた。「あんたは心配してたけど、東京全然危なくないじゃん」。……鈍いお前が心底不安だ。明日は俺も下見する。志望校、地元国立から変更だ。
高校最後の夏休み、大学の下見で上京した。「東京は危ねえから」と幼なじみがついてくる。夜、ホテルの部屋に一人でいると、彼が隣室からやってきた。「……他意はねえぞ。危ないかなって」。私は慌てて追い返す。あんたはデキるし多分危なくない。危険なのは私の方だ。ここで惚れたら受験にしくじる。
「君、よく振られるでしょ?」。別れ話をされた後、彼女が呟く。……ああ、大学に入って3人目。「自分の想いに気づかないと、恋人も、あの子もずっと気の毒だよ」。泣き笑いの表情で、彼女は手を振り立ち去った。あの子って誰だろう。愚痴るついでに訊いてみよう。3年も腐れ縁の女友達にLINEを送る。
「また振られた」。大学の男友達が呟いた。私も全然上手くいかないよ、と笑顔で肩をポンポン叩く。本当は切なく泣きそうだ。もう3年も腐れ縁。意気地なしの自分のことが嫌になる。「聞かないんだ、別れのわけ」。恋の終わりに理由があるの? 「気づかされたよ、一番近くに一番好きな子がいるんだと」
本屋のバイトで同じ19歳の彼氏ができた。人気の猫耳少女のフィギュアが付いた、限定本に反応してる。言わないし、イケメンだけど、君は絶対ヲタクだね。抜き打ちで確かめようと企てる。遊び行くね、と一方的にLINEを送り、自室の机の鍵を開けた。同人誌をかき分けて、猫耳のカチューシャを鞄に入れる。
同じ19歳の彼女ができた。「遊び行くね」と突然言われ、ワンルームで迷いに迷う。共通のバイト先では趣味は極秘。バレれば振られる。そしたら再び萌え猫の美少女フィギュアが唯一の救いだ。手放せない、収納の場所もない。ベルが鳴り、天を仰いで扉を開く。「来たニャ」。可愛い彼女が猫耳姿で囁いた。
予備校の夏期講習で満員電車に乗車する。「朝の上り、随分混んでいるんだね」。幼なじみの彼女が囁く。痴漢に遭うぞ、もっと寄れ。「照れ臭いけど、恋人みたい」。今さらお前に欲情するかよ。その時、電車が揺れて、密着しながら「あん♡」と彼女が吐息を漏らした。……あのさ、お前わざとやってない?