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掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』24年7月1日発売(予約受付中)。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。イラストはイトノコさん、まかろんKさん、NCG・春さんの作品です。
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大学近くのカフェでランチする。「ぼっち飯」。顔を上げると女友達が笑ってた。美人なのに皮肉屋で、何かと俺に絡んでくる。GWなのに、お前こそ1人じゃねえか。「そうでもないよ」。へえ。大方、彼氏と待ち合わせでもしてるんだろう。クスっと笑った彼女が前に座る。「これで2人飯になるじゃない?」

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「デートじゃなくて暇潰しだからね」。幼なじみが念押しした。ぼっちにGWはしんどいな。そう呟くと「仕方ない」と彼女が遊園地に誘ってくれた。とはいえ上から目線は気に入らない。お前も17年間、彼氏なしだろ。「私は臆病だから告らないだけなんだ」。奇遇だな。独りの理由、俺と全く同じじゃないか。

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交際相手に別れを告げた。高校で知り合った僕の最初の恋人だ。デートもキスも初めてだった。なのに、どうしようもなくほかの女子に惹かれてしまう。新しい彼女との初のデートで僕は気づく。デートの作法を学んだのも元カノだった。昔よく来た水族館で、彼女と腕を組みながら、元カノのことを思い出す。

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高校の昼休み、同級生の男子に踊り場へと連れ出された。「ブレザー着ろよ」。何言ってんのよ。ぽかぽかのYシャツ日和じゃない。「周りに毒だ」。そりゃ風邪でもひけば迷惑かけるけど、毒ってのは言い過ぎでしょう。君はいいヤツだけど、真面目過ぎるの玉に瑕だね。「……下着が透けて、目に毒なんだ」

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本名も知らない男の子に恋をした。Twitterで愚痴をこぼすと、すかさず慰めてくれる。多分同じ高校生。彼の想いがわからずに、私はアカウントを消すと宣言する。「戻ってきてな」。その呟きが本音であれば、きっと私に気づいてくれる。1か月後、名前もアイコンも変えた私は、彼をそっとフォローする。

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「お前、初めてだったんだ」。終わった後、彼は呟き、私を抱き締めた。うん、そうだ。大学までに2人と交際したけれど、夜を過ごしたのは最初だよ。あなたは随分上手だったね。「大事にする」と囁く彼に、私は曖昧に微笑んだ。最初より、ずっと気がかりなことがある。私はあなたの最後になれるのかな。

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友だちから彼氏を奪った。大学の帰り道、バーに誘ってしなだれかかり、その日のうちに彼に抱かれる。甘い台詞を囁かれ、今夜も深く愛された。私の想いは急速に冷めていく。また友だちを失った。彼女は彼のどこが好きだったのだろう。「誰かのもの」ではない他者を、私は愛することができるのだろうか。

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カフェで幼なじみに彼女を紹介された。そばにいて当たり前。そう過信して、淡い好意を伝えることを怠った。おめでとう、と私は道化る。彼がトイレに立った時、「泣きそうだね」と可愛い笑顔を向けられた。黙り込む私に彼女は囁く。「恋人役を頼まれたんだ。彼、そばに気持ちを知りたいコがいるみたい」

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失恋した同級生を慰めたのがきっかけだった。半月前、私と彼はつきあい始める。まだ手を握るだけ。元カノとしたファーストキスを覚えているか尋ねると「忘れたよ。君はどう?」と問い返された。内緒だけど、私は全部が初めてなんだ。忘れたのなら上書きさせてね。私はそっと背伸びして、彼に口づける。

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「元カノとしたファーストキスを覚えてる?」。彼女が尋ねる。交際半月。まだ手を握るだけだ。元カノに失恋し、慰めてくれたのがきっかけだった。忘れたよ、モテそうだけど君はどう? その時、ふいにキスされた。「そっか」。彼女は微笑み囁いた。えっと……何がわかったの? 「最初のキスの感じ方」

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