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タキシードがよく似合う。「幼なじみは男前だろ?」。式場で間近の彼が微笑みかけた。そうだね、認める。27年も気づかなかったよ。近すぎて、私の目が曇ってたんだね。「幸せになろうな」。当たり前だ。約束するよ。キャンドルを握った彼の姿が涙で曇る。綺麗な新婦を伴って、彼が隣の机に移っていく。
会社の後輩は綺麗なのに自信がない。放っておけず、やがて彼女を好きになる。悪友がある日「この子可愛い」とURLを送ってきた。そういうことかと僕は気づく。5年前の学生時代、失恋し、貧しくて、やけになったと言っていた。全部受け入れ、告白しようと僕は思う。1本だけの大人の動画で彼女が喘ぐ。
同じ会社の先輩に告白される。女子大に通っていた5年前、元彼に手酷く振られた。貧しくて、自暴自棄になっていた。私は誰にも愛されない。そう感じていた。誠実な先輩は、今の私の小さな希望だ。ずっと一緒にいたいと思う。伝えたら、許されるかな。スカウトされ、あの時一度、大人の動画に出演した。
高校の新入生説明会。3年の生徒会長に一目ぼれした。一緒に活動したものの、告白できず、彼は卒業していった。少しでも先輩に近づきたくて、進級後、会長選に手を挙げる。1年男子の役員が「ラノベの生徒会と違いますね」とぼやいてる。地味な作業ばかりでしょ。でもね、ここにもあるよ、アオハルは。
「君、ラノベを真に受け生徒会に入ったでしょ?」。高2の会長に言い当てられた。ラノベと違い、現実は地味な作業の連続だ。「アオハルしたけりゃ、運動部の方がいいかもね」。短髪をかき上げながら彼女が笑ってる。……会長はどうなんです? 僕は続けるつもりです。してますアオハル。一目ぼれです。
高3のいとこの家に遊びに行く。昔から2歳上の私が姉、彼は弟のように仲がいい。「漫画は貸すけど、俺のベッドで無防備に寝転ぶな」。スカートを、今日は少しミニにした。思春期に意識し始め、「弟」だからと諦めた。でもさ、法学部の講義で知っちゃったんだ。知っている? いとこは結婚できるって。
また従妹がうちに来た。高3の俺の二つ上。家が近所で昔から姉貴のような存在だ。「漫画借りるよ」。大学生だろ。無防備に俺のベッドで少年漫画に夢中になるな。「ひょっとして、意識しちゃってる?」。小悪魔みたく笑ってる。法学部ならきちんと学べよ。姉と違い、いとこ同士は結婚だってできるんだ。
高校の先輩が彼氏になって3か月。まだ姓に「さん」付けで呼ばれてる。不器用なのは知っていた。馴れ馴れしいと思われるのが不安なんだね。その日、私から不意打ちでキスをする。恋人同士はいいんだよ、馴れ馴れしくて。勇気を奮い、私は最初をあげました。次は先輩の番ですよ。呼び捨てにして下さい。
後輩が彼女になって3か月。これまでは姓を「さん」付けで呼んできた。名前を呼び捨てしたいけど、馴れ馴れしいと思われそうで、すくんでしまう。高校の帰り道、不意に彼女にキスされた。「……初めてです。これでもまだ、馴れ馴れしいのが心配ですか?」。今度は僕から口づける。彼女の名前を囁いて。
ジューンブライドの彼女の姿は美しかった。幸せになろう。25歳の僕たちは誓い合った。「何だか私じゃないみたい」。新姓で呼ばれるたび、彼女は照れて頬を染めた。あれから5年。共働きですれ違い、最近また、彼女が同じ台詞を口にする。「何だか私じゃないみたい」。6月、彼女は元の姓に戻っていく。