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掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』24年7月1日発売(予約受付中)。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。イラストはイトノコさん、まかろんKさん、NCG・春さんの作品です。
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必死で笑い話を考え、LINEの即レスも欠かさない。高3の時、そんな日常にうんざりしてた。だから孤高の彼女に強く惹かれた。僕が級長で彼女は副級長。自分を偽り飾りすぎ、僕は告白の言葉を紡げない。あれから5年。目の前に再会した彼女がいる。今度こそ飾らず偽りのない台詞を言おう。君が好きだと。

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「女子といるのを目撃され、彼女持ちだと思われてる」。男友達に相談された。恋人未満の幼なじみに片思いしているそうだ。きちんと想いを伝えなよ。黙っていたら手遅れになるかもしれないよ。「勇気を出してそうするよ」。頷く彼に笑顔を向けて、心で悔いた。臆病で、手遅れになったのは、私のほうだ。

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「年初の目標、もう挫折?」。パーカーに着替え、布団から兄を引きずり出す。毎朝2キロのラン。彼女に締まった体を見せたいそうだ。見せるって、つまりそういうことだよね? 大学とデートで、在宅時間がますます減った。涙をこらえて私が並走する理由、気づかないかな。一緒にいたいよ、お兄ちゃん。

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「10年後の私へ。彼と一緒に幸せですか?」。実家に帰省し、15歳の時に自分に宛てた手紙を見つける。彼はあの頃、いじめられてた私の救いだった。それから3年交際し、浮気をされて、破局した。「懐かしいね」。夫に手紙をのぞかれる。愛情表現が下手だった、かつてのいじめっ子が隣で頭をかいている。

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冬休みの帰省を自粛した。「仕方ないよね」。3週間前、最後に届いた彼女のLINEをぼんやり眺める。しばらく前からぎくしゃくし、共通の友人経由で彼女の新たな恋を知らされた。「仕方ない」は優しい嘘だ。「君の自粛も同じじゃない?」。クリスマスからつき合い始めた都会生まれの恋人が、隣で微笑む。

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終わった後に寝落ちして、彼女に起こされる。「寝言で別の子の名を呟いてた」。まだ交際1か月。肩を抱き、結婚間近の姉貴だよと釈明する。「ごめん。君はそんな人じゃなかったね」。涙を拭う彼女を見つめ、胸が痛む。2か月前、5年続いたいびつな関係を終わらせた。なのにまだ、僕は姉を愛している。

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大学受験までひと月なのに自信がない。僕がLINEで弱音を吐くと、彼女に笑顔の絵文字を返された。推薦で一足先に合格済み。「落ちたら私が先輩だね」。1年前、同級の彼女と後輩に告られて、僕は半年煮え切らなかった。このタイミングで蒸し返すなよ。僕はぎゅっとペンを握る。絶対現役合格してやるぞ。

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2024-06-27

25歳の誕生日。彼の浮気が発覚した。結婚したいと思ってた。詫びる彼に別れを告げて連絡を絶つ。何度か恋をし、すぐ壊れ、誰が好きだか改めて気づく。彼の年賀状は昔の住所。やり直したい。そう願ったところで病に倒れた。死後の寒中見舞いに添えるため、写真を撮る。10年前に贈られた髪飾りをつけて。

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「死んでも許さない」。25歳の誕生日。長髪の彼女に贈り物をしたところで浮気がばれ、別れを告げられた。以来、実家に年賀状を出し続ける。10年目、両親名で寒中見舞いが返ってきた。彼女は昨秋、病死したという。葉書の近影に涙が溢れる。発言守れ。何で僕を許すんだ。彼女の髪飾りには覚えがあった。

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