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掌編小説(140字)@単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』7月1日発売さんのイラストまとめ


本業は別分野の物書きです。単行本『ごめん。私、頑張れなかった。』24年7月1日発売(予約受付中)。投稿が原案の漫画(studio.booklista.co.jp/series/b88a988…)。Amazonアソシエイト。イラストはイトノコさん、まかろんKさん、NCG・春さんの作品です。
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「失恋狙って告るなんて、あざといです」
「悪いな。胸押し当てて抱き締めて」
「先輩らしくありません」
「君が私を知らないだけだよ」
「知ってますよ、優しいこと」
「繰り返すがこれは私のためだ」
「やっぱりあざといです」
「嫌いになった?」
「こんな健気に打ち明けられたら、拒めません……」

5 37

離婚間もない殺風景な自宅で、昔振った元カノと久しぶりに鍋を囲む。肉も野菜も土鍋に放り込むだけ。缶ビールを旨そうに飲む彼女を見ながら、変わらないなとホッとする。なあやり直そうか。ほろ酔いに任せて呟くと、彼女は困ったように微笑んだ。「復讐に来たと言ったでしょ。私、来週、結婚するんだ」

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「よく5歳の写真持ってたな」
「紙焼きを見つけてスマホで接写した」
「俺との水遊び、大切な思い出なのな」
「成長しないねえ、その早とちり」
「じゃあなんだよ?」
「まあここ見てよ」
「幼女の水着?」
「で、次はここ」
「お前のセーターの胸あたり?」
「12年間の私の成長、教えてあげたくて」

13 52

「何そのスマホの待ち受け?」
「胡蝶しのぶ」
「17歳でアニヲタですか」
「お前も見せろ」
「いいけど卒倒するよ?」
「百合かBL?」
「半裸の私が男と濡れている」
「大晦日の俺とのキスが初めてじゃ……」
「見る? ほらほら目背けるな」
「何だこれ?」
「うちの庭で水遊びする5歳のあんたと私」

21 87

初夢見たよ>
🐸<どんな? 既読
      君と仲良し>
🐸<夢でも俺ら❤️だ 既読
   でも君の浮気発覚>
🐸<えっ夢で? 既読
🐸<俺が浮気? 既読
🐸<ひょっとして見られた? 既読
🐸<出来心でキスだけだよ 既読
    正夢なんだ……>
🐸<ごめん 既読
🐸<おーい!
🐸<おーい?

10 39

「昔、別の男子と映画見た、で動揺したの?」
「……」
「ほー。嫉妬ってやつですか?」
「何だその笑み」
「年末まで幼なじみだったのに?」
「嫉妬なんて読めも書けもしねえし」
「今年の目標、国語だね」
「余計なお世話」
「嫉妬じゃないなら何よ?」
「ただの焼きもち」
「やっぱ国語、頑張ろう」

7 48

新年早々風邪をひく。お粥をつくってくれた後、彼は初詣に出て行った。交際5年、同棲2年。天然だけど優しい彼が大好きだ。やがて戻ってきた彼に、お守りを渡された。安産祈願。いや今日は病気平癒でしょう。感謝しつつも苦笑いすると、彼が言う。「間違ってないよ。今年は必要になるかもしれないし」

13 69

交際して初のお正月。近くの神社に参拝した。来年も2人で来られますように。それだけ祈り隣を見ると、「大学合格、家内安全、世界平和……」と彼女がぶつぶつ呟いている。あれ、恋のお願いしないんだ。そう尋ねると、彼女は真顔でこう言った。「神頼みしなくても、私は自分の気持ちに自信があるもん」

7 64

「大晦日の深夜だぞ?」
「あんたの家行くと言ったら、親もOK」
「迎えたウチの両親もだけどさ」
「交際のこと親に言った?」
「17歳だぞ。言わねえよ」
「しばらく黙っとこう」
「幼なじみと思われてたほうが好都合だな」
「キスしてるとか疑われないしね」
「してねーし」
「今夜試してみようか?」

21 59

若い女性に抱き締められる。宿で火災に巻き込まれたのは覚えてる。病院で目を覚ますと、僕は記憶をなくしていた。女性のぬくもりが、微かに何かを思い出させる。関係を終わらせようと一泊し、僕らは最後に重なり合った。不倫か浮気の相手だろうか。涙声で彼女は囁く。「目覚めてよかった。お兄ちゃん」

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