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「先生、約束果たしました」。七つ下の元教え子が微笑んだ。今日から教育実習だ。高3で担任し、真っすぐな想いをぶつけられた。まだ子ども。何度も拒むと「私、必ず戻ります」と涙ぐまれた。4年弱の歳月は人を変える。美しく垢抜けて、大人の女になっていた。僕も変わる。彼女の想いを受け入れよう。
幼なじみと買い物中、街でゲリラ豪雨に襲われる。「雨宿りって……ここラブホだよ?」。戸惑う彼女の手を引いた。20歳で自分の想いに気がついた。誘い込んではみたものの、照れて告れず、布団をかぶって寝たふりする。「……なあんだ」。呆れたように呟く彼女が、ベッドにしのび、俺の隣であくびする。
ラブホテルに来てしまった。都心で幼なじみと買い物し、ゲリラ豪雨に襲われた。「雨宿り」と手を引かれ、彼と部屋に入ってしまう。20歳だけど未経験。まだ好意は伝えてない。……これは案外いい機会? 彼はすでにベッドの上だ。ひょっとして、その気なの? 答えはない。代わりに寝息が聞こえてくる。
彼女とは園児の頃からずっと一緒だ。孤独な僕のたった一人の友だちだった。来年には中学生。「私たち、ずっと親友でいられるよね?」。囁く彼女に首を振る。「好きな子ができちゃったの?」。やっぱり彼女は気づいていない。存在が子どもの頃しか許されないこと。僕のイマジナリーフレンドだってこと。
最初に彼とお話したのは園児の頃だ。一人っ子の私にとって、彼だけが友だちだった。来年からもう中学生。ね、ずっと親友でいられるよね? 「僕らはそろそろ終わると思う」。何で? 「子どもの季節が過ぎるから」。好きな子ができちゃったの? 「違うよ。君は僕で僕は君。イマジナリーな存在なんだ」
前に鮒とタガメを捕った。ママは喜び水槽を買ってくれた。「どこにいたの?」と訊かれたけれど、教えない。小学校でも僕しか知らない秘密の沼だ。囲いの小さな穴をくぐる。今日こそは、ザリガニを捕まえるんだ。沼の淵から網をのばす。ママが好きな赤色だから。その瞬間、足を滑らせ僕の体は水に沈む。
水槽の小鮒が跳ねた。小3の息子が捕まえてきた。「ママ、そのうち鯉になるぜ」と笑ってた。男の子って本当に馬鹿だ。今度はタガメを捕らえ「育てたら怪獣だ」と自慢げだった。本当に馬鹿。成長を見守ってほしかった。私にも見守らせてほしかった。裏山の沼に落ち、母子の時間はもう3年も止まってる。
今や男女は関係ない――。親や教師に言われ続けた。入社後も結果を出した。でも出世で同期の男に追い抜かれる。懐いていた後輩が、最近、彼と仲がいい。甘え上手で常に笑みを絶やさない。後輩も、密かに焦がれた彼も、私は失う。気づくと三十路だ。絶望し、屋上で最期に思う。私は何を間違えたのだろう。
先輩が飛び降りた。美人を全く鼻にかけず、仕事もできた。私は自分に自信がなく、男に媚び、作り笑いの毎日だ。「彼女みたいには誰もなれない」。先輩と同期の上司に慰められる。完璧でも生きづらさは消えないんだね……。憧れは誤りだったのかもしれない。上司にもたれ私は囁く。今夜独りが怖いです。
高校で彼に振られた。幸福な家庭を築くんだ、と未来を夢見た。忘れられない。泣きじゃくる私のことを、クラスの男子が慰める。「無理に忘れなくてもいいと思う」。こんな想いを残したまま、幸せになんてなれないよ。「未練ごと過去にしろよ」。そんなの独りじゃ無理だって。「俺でよければ力を貸すぜ」