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回り道をした末に、20歳で幼なじみとつきあった。初めてのクリスマス。温泉宿でキスの後、彼がため息ついて布団に倒れる。お互い別の人とは経験済みだ。昔はお風呂も一緒に入ったよね? 「異常に恥ずい」。顔を背けて彼が言う。……実は私も同じだ。ゆっくり距離を縮めよう。今度は彼と彼女としての。
高校の帰り道、先輩が喫茶店の窓辺に座っていた。優しく強く、同性の私から見ても美しい。彼氏の噂は聞かないけれど、明日のクリスマスイブはどうするのかな。誰かに寄り添う姿を想像し、絶対嫌だと私は思う。勇気を奮って店の扉に手をかける。もし明日の予定が空白ならば、伝えます。好きです、先輩。
「1人ですか?」。振り向くと、後輩の美少女が立っている。高校の通学路にある喫茶店。うんそうよ。ちなみに明日のクリスマスイブもぼっちなんだ。「なぜ男子に、先輩の良さが伝わらないのか不思議です」。そんな笑顔で囁かれると切なくなる。女子にだって伝わらないよ。例えば、片想いのあなたにも。
クリスマスのバイトを終えてカフェに向かう。別のバイト上がりの彼が待つ。高校の腐れ縁の同級生。「お互いぼっちの聖夜は寒いな」。全くよ。はいこれ、バイト先で安売りしていたケーキ。「サンキュ。じゃ、ここは奢るよ」。……ねえ、去年もカフェで反省会したけれど、私たち何で恋人できないのかな?
「まさか裏切らないよね?」。高校の女友達に念押しされた。クリスマスはバイトだよ。そういうお前も「ぼっちの盟約」守れよな。「私もバイト」。今年こそ恋人と過ごしたいと言い合って、お互い結局このザマだ。「で、シフトは何時まで?」。うん、何で? 「去年と同じく2人で反省会しようかなって」
旧友と飲んでも全然酔えない。一緒に帰省した妹を残し、大学のある東京へと引き返す。行きがけに、ターミナル駅で男連れの彼女を見た。「気になる同級生」だと思ってたけど、こんなにも妬けるとは。向かいの電車が駅を出る。ホームには旅から戻ったらしい彼女の姿。切なげに、なぜか独りで立っていた。
電車の窓から冬の都会をぼんやり眺める。2年ぶりの里帰り。乗車前、ターミナル駅で彼女を見かけた。僕と同じ上京組で、大学で仲良くなった。惹かれ始めていたけど、旅支度で見知らぬ男と一緒にいた。「さっきの綺麗な女の人、知り合い?」。いや全く。駅弁を手渡した、向かいの席の妹に、僕は答える。
高校の同級生に惹かれてる。私はちょっとコミュ障で、上手く距離を縮められない。ある日、彼が廊下で女の人と談笑するのを目撃した。飾らない笑顔が素敵な上級生だ。想いに気づいてくれるかなと、淡い期待を抱いてたけど、彼にも好きな人がいたんだね。視線が合い、なぜか俯く彼の隣を、黙って過ぎる。
夜、買い物の帰り道、高校生のカップルを見る。もう少しでクリスマス。大好きな元彼と過ごした青春時代を思い出す。高卒後の就職先は単純な事務職だ。安月給だけど残業もない。コンビニの安いワインを飲みながら、お気に入りの本を読む。大丈夫、独りの今も幸せだ。少し泣き、私は自分に言い聞かせる。
高校に合格した頃、発病した。根治は難しく、自宅療養を勧められた。部屋の窓から登校する男子が見える。視線が合い、以来毎朝、無言で微笑みあった。彼に触れたい。服薬を欠かさずに、食事にも気を遣う。「驚きの回復です」。冬を迎え、医師から慣らし登校の許可が出た。彼と同じ制服を、初めて纏う。